サステナブル先進国から学ぶ 「環境配慮と販促」両立のヒント

SDGsの目標達成が目前に迫り、日本国内において環境配慮の意識はますます高まっています。それは経営層だけでなく、一般消費者とのコミュニケーションを行うマーケティング・販促担当者の業務においても同様。「サステナブルな工夫」は様々な場面で求められるようになってきました。本稿では、『サステナブル×イベントの未来 オランダ・スウェーデンで出会った12のマインドスイッチ』の著者であり、ヨーロッパのサステナビリティ推進事情に詳しい電通ライブ 大髙良和氏が、参考にすべきサステナブルプロモーション事例について紹介します。

本記事は、5月1日発売の月刊『販促会議』2025年6月号の転載記事です。
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大髙良和氏

電通ライブ
第1ビジネスクリエイションユニット
ユニット長補

2012年入社、スペースプロデュースに従事。サステナビリティ関連では同業5社によるサステナブルイベント協議会や業界標準カーボンカリキュレーター開発チームの立ち上げ、その他メディア出稿/イベント登壇など積極的に活動。著書『サステナブル×イベントの未来』(宣伝会議)。

Returpack/スウェーデン
サステナエンジンはモチベーションアップから

スウェーデンではPant(パント)と呼ばれているアルミ缶やペットボトルのリサイクルシステムがあります。飲料を購入する際にデポジットが含まれた料金を払い、飲み終わった後はスーパーマーケットや地下鉄コンコースなど、街の様々な場所に設置された専用返却機に容器を入れることでデポジット分が返金される仕組みです。支援団体への寄付も選択できます。

スウェーデンに設置されているアルミ缶やペットボトルのリサイクルシステム「Pant 」(著者撮影)。

容器を返却すればお金が戻ってくるので、それをお小遣いにするような感覚でこどもたちが積極的に投入しているのが印象的で、返却機に容器を投入するという行為自体も一つのアトラクションとして楽しんでいるようです。買い物という日常的なアクションの中に、サステナビリティに対するモチベーションアップの仕掛けが上手く組み込まれているすばらしい事例だと感じました。

スウェーデンの人々は、このような事例を通じて、「飲料容器は廃棄するのではなく返却することが当たり前」「身近な場所で毎日できる小さなアクションが環境に変化をもたらす」ということを幼い時から日常的に体験しています。容器が道に落ちていれば、デポジットとしてお金が戻ってくるので誰かが拾う。街をクリーンにしながら、生活困窮者の支援にもつながっているのです。

行動に対するアクションやリターンを明確にすることで自分ゴト化を進める。そんなサステナマインドが販促イベント領域でのエンジンとなる事例だと思いました。

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