「大阪焼肉・ホルモンふたご」などを運営するFTG Companyでは2025年4月1日付けで社長が交代した。新社長になるのは現取締役COOである森川誠氏だ。創業15年目を迎え、新体制になるFTG Companyはどのような企業を目指すのか。創業者から社長職を引き継ぐ森川氏に聞いた。
FTG Company代表取締役COO森川 誠氏/地元の飲食店で経営に失敗、その悔しさから上京。その後、飲食店に特化した不動産事業に携わり、FC事業の立ち上げを検討していた矢先、李兄弟に出会い経営ビジョンに感化され、2011年にFTGへ入社。創業メンバーとして会社の成長を牽引し、取締役を経て2025年4月代表取締役COOに就任。
FTG Companyの経営にはいつも「家族」の存在がある
──FTG Companyは2010年創業。今年で15周年を迎えています。
FTG Companyは「大阪焼肉・ホルモンふたご」をはじめとして、の5つの飲食事業を運営している会社です。現在店舗数は累計で126店舗。中でも「大阪焼肉・ホルモンふたご」については海外にも店を構えていて、今後も海外出店には注力していく方針です。
このように当社には飲食事業のイメージが強いと思いますが、当社はそもそも飲食事業や焼肉事業をしたくてこれら事業を展開しているわけではありません。FTG Companyのミッションは「この世の中にもっと驚きや感動が溢れ、“ワクワク”する社会になることをしていきたい」です。ワクワクする社会をつくる一翼を担うために、サービス事業の1つとして最初に焼肉事業を創業したという経緯がありました。
だからFTG Companyは飲食事業だけの会社ではないんですよ。現在は計20事業を展開する総合サービス企業として、多種多彩な事業展開を視野に入れています。
──焼肉事業からスタートしたのは、創業者である双子の2人の家族にも由来すると聞きました。
創業者の実家が焼肉店だったということもあり、創業者の双子は焼肉を通して家族に恩返しをしたいと考えていたようです。そのため、最初は焼肉事業から始まっています。ちなみに、「大阪焼肉・ホルモンふたご」以外の業態の店名にも、すべて家族に由来している言葉が入っているんです。最近開業した「大阪ぎょうざ専門店 よしこ」も実は、創業者の双子の母親の名前だったりします。
大阪焼肉・ホルモン ふたご 練馬店の外観。
家族を想って始まった会社ということもあり、FTG Companyの経営方針の根幹にも、『家族』という価値観があります。双子の兄弟が親孝行を目的に会社を始めて、その精神が今も受け継がれているんです。
たしかに最初は創業者が自分の家族への孝行として始めた会社かもしれませんが、創業者にとっての家族は自分の家族だけではないですよね。従業員、そしてその従業員の家族も、会社にとっては「家族」です。FTG Companyに関わる社員と社員の家族全員がどうすれば幸せになれるのか。常に考えながら経営にあたっています。
例えばFTG Companyには『親孝行手当』という独自の福利厚生もあるんですよ。社員が両親に何かを贈る機会を制度としてつくっています。「家族」は企業のDNAとしてこれからも存在し続けるのだと思います。
さらに、家族を大事にするという理念は、社員のエンゲージメントを高めるだけでなく、顧客にも温かみのあるサービスとして伝わると思うのです。社員が安心して働ける環境を整えることが、結果的に顧客満足度の向上にもつながると考えています。「家族」を想うことこそ、FTG Companyならではの経営方針だと思っていますね。
グローバル展開に注力 組織再編の背景
──創業期から経営を支えてきた森川さんですが、2025年4月からは社長として会社の成長を牽引する立場になりました。
これまでは創業者の双子が社長・副社長としてFTG Companyを引っ張ってきました。私がFTG Companyに入社したのは、「大阪焼肉・ホルモンふたご」の3店舗目をオープンするときだったのですが、そこで店長を経験し、人事総務など、幅広く担当しましたね。本部機能の構築など、経営企画にはまだ会社が小さなときから携わらせていただいていました。
FTG Company代表取締役COO森川 誠氏。
その創業者である双子から、2025年4月に社長職を引き継ぐことになりました。組織再編の理由は、海外展開の注力のためです。2025年4月からの新体制では、創業者がグローバル展開に力を入れていきます。一方、日本での事業運営を私が担当することになるというかたちです。
さらに、先ほど20の事業を展開していると冒頭で述べましたが、今後はホールディングス制に移行し、より効率的な経営体制を構築していくことも、組織再編の理由です。