恋愛リアリティーショー、なぜ人気? ABEMA制作陣が考察

「リアリティ」を描くコンテンツが増えるなか、とくに若年層を中心に人気を集めているのが恋愛リアリティ-ショーだ。中でも「ABEMA」は、ジャンルの牽引役として存在感を放っている。なぜいま恋愛リアリティ-ショーは多くの視聴者に惹かれるのか。「ABEMA」が話したのは、視聴における自由度の高さと、恋愛というテーマの「のぞき見」が、今の視聴者の気分やインサイトにフィットしているのではないかという仮説だ。

実データ グラフィック 「今日、好きになりました-卒業編2025 inソウル」KV

©AbemaTV, Inc.  「今日、好きになりました-卒業編2025 inソウル」。「今日、好きになりました」は2017年から放送を開始し、現在は60シーズンを超える長寿番組になっている。

「リアリティ」を描くコンテンツの中でも、とくに人気なものの1つに恋愛リアリティーショーがある。若年層を中心に根強い人気を保ち続け、SNSでは推しカップルが話題になったり、切り抜き動画が何百万回も再生されることも珍しくない。

番組を制作する各社の中でも、恋愛リアリティ-ショー領域で頭ひとつ抜けているのがABEMAだ。「今日、好きになりました。」は2017年から放送を開始し、現在は60シーズンを超える長寿番組。その他、累計で100本以上の恋愛リアリティ-ショーの制作・配信を行ってきた。

「本来見れないものを見る」恋リアに求められていること

なぜ、昨今恋愛リアリティーショーがここまで人気になっているのか。ABEMAで恋愛リアリティ-ショーのプロデューサーを務める樫尾魁氏によると、「“のぞき見” できる」という特性が、理由の1つとして存在しているのではないかと語る。

「誰かの恋愛って、普段見ることはないですよね。カップルYouTuberやインフルエンサーは別かもしれませんが…。本来であれば見えない、あるいは見てはいけないものを見ている感覚を持つことができるのが、恋愛リアリティーショーの醍醐味だと思います。

人は仕事でもプライベートでも“猫をかぶって” 生きていると思うのですが、恋愛となると、つい本音や本性が出る。その喜怒哀楽が激しくなる瞬間を俯瞰して見られるというのが、リアリティーショーの面白さだと思いますね。まさに“のぞき見”。当事者としてではなく、第三者として恋愛の一部始終を見守れることに魅力を感じている視聴者は多いです」(樫尾氏)。

写真 人物 プロフィール AbemaTV制作本部プロデューサー・樫尾 魁氏

AbemaTV制作本部プロデューサー・樫尾 魁氏:2013年明治大学商学部卒業。ソフトバンクグループに入社後、テレビ制作会社に転職。2019年に株式会社AbemaTVに転職し、バラエティジャンルのプロデューサーを経験した後、現在は恋愛リアリティーショー『オオカミには騙されない』『ラブパワーキングダム』などのプロデューサーを務める。

さらにこの“のぞき見” や“見てはいけないものを見てしまった” という感覚は、視聴者の反応にも顕著に表れているとプロジェクトマネージャーを務める坂上沙織氏も話す。視聴者を惹きつける要素になっているという。

「番組のプロモーションでTikTokやInstagramに“切り抜き動画” をアップロードしているのですが、バズるのは“普段見られないものを覗いた感” のある場面が多いです。やはり誰かの恋愛を視覚で捉えられるという番組特性は、惹きが強いのだと思います。恋愛って、恋バナで聞くことはできても、目の前で見ることはできない。そういう意味でも“恋愛” と“リアリティ番組” の相性は良いのだと思います」(坂上氏)。

写真 人物 プロフィール AbemaTV制作本部プロジェクトマネージャー・坂上沙織氏

AbemaTV制作本部プロジェクトマネージャー・坂上沙織氏:2018年サイバーエージェント新卒入社。新卒採用人事に配属。2021年10月に株式会社AbemaTVへ異動し、リアリティーショーのプロジェクトマネージャーを務める。担当番組は、『ラブキャッチャージャパン』『ラブパワーキングダム』など。

ライフステージで変わる 番組の視聴態度

2 人が挙げた“のぞき見” というキーワードは、恋愛リアリティ-ショー視聴者が共通して惹かれるポイントだという。樫尾氏によると、そもそも恋愛リアリティ-ショーの視聴者層も多様化しているとのこと。学生や若年層だけが視聴するコンテンツではなくなっているという。

「現在は恋愛リアリティ-ショーの企画の切り口も多様化していますね。30代以上しか参加できないものもあれば、高校生しか参加できないものもあります。恋愛リアリティ-ショーの戦国時代とも言える今、制作側としては、さまざまな視聴者に合うような切り口を模索しているのかもしれません。このような背景もあり、恋愛リアリティ-ショーは増え続けているのだと思います」(樫尾氏)。

実データ グラフィック 「キミとオオカミくんには騙されない」KV

©AbemaTV, Inc. 「キミとオオカミくんには騙されない」。ABEMA制作・配信の「オオカミシリーズ」は、2017年から放送を開始している。

このように、恋愛リアリティ-ショーが幅広い年代に視聴されるコンテンツになった今、わかってきたのは年代別で視聴態度が異なることだと坂上氏は続ける。恋愛は視聴者自身が置かれている状況・環境によって感情の機微も変化する。その影響が視聴態度にも反映され、年代ごとに“刺さるリアル” も違いが生まれてくるのではないかと話す。

実データ グラフィック 「ラブパワーキングダム」KV

©AbemaTV, Inc. 「ラブパワーキングダム」。取材した樫尾氏、坂上氏も制作に携わっている。

「年代によって、番組の楽しみ方が違うのは興味深いポイントだと思います。ABEMAの調査では、10代はキラキラした恋愛に憧れて“THE青春系” のようなコンテンツが人気な
のに対して、20代は自分自身が恋愛真っ盛りだからこそ“ちょっと毒っ気のある展開” や“ドロドロした展開” にも惹かれる傾向にあるようです。しかし、30代以上になると既婚の層がグンと増えます。これまでの層とはライフステージが違うんですよね。そうすると、恋愛リアリティ番組の見方も変わるんです。自分の経験や成功体験を重ね合わせて『応援』したり、参加者の行動・言動を『評価』するような目線に変わっていきます。ライフステージと密接にかかわる恋愛という題材だからこそ、視聴態度やインサイトが見えるのは―――、

 

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