全国の家具メーカーや工房、関連事業者350社以上が加盟する一般社団法人日本家具産業振興会は、「日本の家具」の価値を国内外へ発信する新プロジェクト「JAPAN FURNITURE (ジャパンファニチャー)」を始動。4月24日に発表会を開いた。
同会では、45年以上にわたりIFFT(東京国際家具見本市)や海外の家具・インテリアメッセにおいて日本の家具を発信してきた。しかしコロナ禍を経て、ウッドショックで木材や関連資材の価格が高騰し、家具の製作にしわ寄せがきていること。さらに、ケルンメッセの開催中止など世界各地のメッセの在り方が変わってきたこと。そして時代の流れの中で、これまでのような展示会のかたちが生産者のニーズに合っているのかという疑問から、同会では従来のやり方を見直すべく委員会を立ち上げた。そして、グッドデザイン賞審査委員長の齋藤精一氏、副委員長の倉本仁氏をアドバイザーとして招聘。実務面では、旭川地域で多数の実績を持つ村田一樹氏が、クリエイティブディレクターとして構想全体をリードするかたちでクリエイティブチームを結成した。そして始動したのが、「日本の家具」の価値を国内外へ発信する新プロジェクト「JAPAN FURNITURE (ジャパンファニチャー)」だ。日本の家具の発信の舞台となってきたIFFT(東京国際家具見本市)の精神を継承しながら、「日本の家具を、ひとつの力に。」をスローガンに掲げている。
多方面から検討をした結果、日本家具産業振興会では3つの事業を展開することを決定した。
一つ目が、日本全国の家具メーカーやショールームで行う「JAPAN FURNITURE MONTH」。6月25日~7月25日の一か月間に、旭川、飛騨、大川をはじめ、全国の家具メーカーや工場が参加し、製品展示や工場公開など多様な取り組みを展開する。メインとなるのは、普段はなかなか見ることのできない製造現場を見学できる「オープンファクトリー」。素材の加工工程や職人の手仕事、設備のスケール感など、家具づくりの現実を間近に見ることで、ものづくりへの理解を深める。
二つ目が、年10月31日~11月9日に東京都内の各社ショップ・ショールームと東京都内のイベント会場で行う「JAPAN FURNITURE SHOW by IFFT2025」。IFFTの精神を引き継ぎ、「合同から分散へ」という新たな展示会のかたちを掲げ、これまでの合同会場でのブース展示から、東京各所のショップやショールーム、ギャラリーなどを会場とする分散型のエキシビションとして再構成する。こちらは、秋に開催されるデザインイベントの開催に合わせる。
三つ目は、「JAPAN FURNITURE」のWebサイト。現在まだ制作途中だが、今後は各社のブランドページも設け、1年を通して国内外に日本家具の情報を発信するプラットフォームとして活用していく考えだ。
発表会当日は、日本家具産業振興会 会長 / 飛騨産業代表取締役会長である岡田贊三氏が開会のあいさつを行い、日本家具産業振興会 IFFT委員会 委員長/カンディハウス 代表取締役会長である藤田哲也氏が新規事業について解説。その後、クリエイティブチームの齋藤氏、倉本氏、村田氏と藤田氏がトークセッションを行った。
トークセッションでは、今回の新しい取り組みへと至った家具をとりまく状況や課題の確認、デンマークで開催されているデザインイベント「3days of design」を初めとする海外の動きや今年のミラノサローネなどの事例から学ぶ新たな家具のプレゼンテーション、旭川デザインウィークでの取り組みなど、現状から今後の展望までが語られた。「このプロジェクトは、最低でも3年を続けることを理事会で承認してもらいました。将来的には、食や観光も含めてジャパンファニチャーの取り組みを理解してもらい、日本の家具のデザインや品質をしっかりと浸透させていきたい」と、藤田氏。最後に、齋藤氏は「従来は各メーカーが競合関係だったわけだが、今はどの業界でも共創関係、共に創っていくという関係が必要になっている。JAPAN FUNITUREにおいても、年に1度は一緒に肩を組んで売っていくという姿勢が今後大事になってくるだろう。そして、グローバルにおいて日本のものづくりに対する評価は高いのだから、もっと胸を張っていくべきだと思う」と話した
左から倉本氏、齋藤氏、村田氏、藤田氏。
JAPAN FURNITURE MONTH 2025
会期: 6月25日(水)~7月25日(金)
会場:全国の家具メーカーの工場・ショールーム
関連イベント
Meet up Furniture Asahikawa 2025 6月25日(水)~6月29日(日)
2025飛騨の家具フェスティバル 7月2日(水)~7月6日(日)
大川夏の彩展2025 7月9日(水)~7月10日(木)
