※本記事は月刊『宣伝会議』6月号の巻頭特集「マーケティングROIを最大化!宣伝部のためのMMM活用術」の転載記事です。
個人情報保護規制や技術革新 MMMへの関心が再燃
登録ユーザー数は6800万人以上(2025年3月末時点)、日本の人口の約2人にひとり以上が利用するキャッシュレス決済サービス「PayPay」。同サービスを展開するPayPayは、立ち上げから現在に至るまで、同社の急成長とともにマーケティング戦略も事業フェーズに応じて大きく変化してきた。
創業初期は「PayPayとは何か」の認知獲得が最優先で、大規模なキャンペーンやそれに連動したテレビCMを積極的に展開し、アプリのダウンロードと利用を強く促すことに注力した。しかし、サービスの普及に伴いユーザー数が大幅に増加すると、投入したマーケティングコストの効果を厳密に評価する必要が生じた。
とはいえ、個々のメディアの効果を検証するだけでは全体として最適なマーケティング投資を実施するのは難しい。そこで、マーケティング活動全体の効果を統計的に分析できる手法としてMMMの導入を決めた。
同社の立ち上げ当初からメンバーとして関わってきたコミュニケーション戦略部長の松永麻見氏は、「全体のマーケティング効果を俯瞰し、最適な予算配分を判断する指標が必要不可欠だと考えました」と当時の課題意識を振り返る。
マーケティング投資の全体最適化が求められるなか、MMMはその実現における有効な手段としていま再び注目を集めているが、松永氏も「業界全体でMMMに関する話題が再燃している」と実感している。実際に他の企業からMMM活用に関する相談や問い合わせが増加しているという。「特に、データを積極的に活用している企業を中心に2022年頃からMMM導入への関心が高まっている印象です」と松永氏は話す。
その上で、昨今MMMへの関心が再燃している背景には、大きく2つの要因があるという。
ひとつ目は、Cookie規制などによる個人情報保護規制の強化だ。「従来のように個々のユーザー行動を詳細に追跡できなくなったため、売上や広告出稿量、市場環境などのマクロデータを活用するMMMのアプローチが有効な代替手段として再評価されているのです」(松永氏)。
2つ目は、分析技術やツールの進化だ。従来は専門知識と時間を要していたMMMが、OSSなどを活用したライトなモデルで迅速に結果を得られるようになった。「以前は専門的で難しいとされていたMMM活用のハードルが、近年大幅に下がってきていると言えます」(松永氏)。
…この続きは5月1日発売の月刊『宣伝会議』6月号 で読むことができます。

Amazonでの購入はこちら
宣伝会議デジタルマガジンはこちら