日本開催のPRイベントが海外でも露出多数「お~いお茶」グローバル戦略

「世界のティーカンパニー」を目指す伊藤園は、「お~いお茶」のMLB/MLB東京シリーズ/LAドジャース契約発表におけるPRイベントを1月に実施し、国内のみならず海外からも注目を集めた。イベントの狙いと同社のメディアリレーションに対する考えについて聞いた。

※本記事では5月1日発売、『広報会議』2025年6月号の特集企画「取材が集まる広報のアプローチ」に掲載している記事の一部をお届けします。

伊藤園が展開する無糖緑茶飲料ブランド「お~いお茶」は、2025年1月21日に、PRイベント『「お~いお茶」×大谷翔平選手 新PROJECTMLB/MLB 東京シリーズ/LA ドジャースとの新契約発表会-』を開催した。

伊藤園は2025年1月に東京都内にて、『「お~いお茶」×大谷翔平選手 新PROJECTMLB/MLB 東京シリーズ/LA ドジャースとの新契約発表会-』を実施した。

イベントでは、「お~いお茶」が2025年からメジャーリーグ・ベースボール(MLB)およびロサンゼルス・ドジャース(LA ドジャース)とのパートナーシップを契約した旨を発表したほか、グローバルアンバサダーである大谷翔平選手の広告における新ビジュアルのお披露目、新キャンペーンの告知などを行った。記者を招いてのオフラインでの開催に加え、YouTube、X(旧Twitter)などでのオンラインライブ配信で日米同時中継を行った。

世界での認知拡大を目指す

2024年に35周年を迎えた伊藤園の主力ブランドである「お~いお茶」は、2001年にニューヨークに現地法人を立ち上げて以降、アメリカをはじめとするグローバルへの展開を本格化させた。

広報部で副部長を務める古川正昭氏は、1月に開催した『「お~いお茶」×大谷翔平選手 新PROJECT-MLB/MLB 東京シリーズ/LA ドジャースとの新契約発表会-』における発表は、このグローバル進出をさらに加速することが狙いだという。

「『お~いお茶』は日本では多くの人に知っていただいていますが、海外での認知度はまだまだ高くない状態でした。しかし、海外における“健康志向” の高まりにより、緑茶や無糖飲料に注目が集まりつつありました」(古川氏)。

そこで、同社はこの機運を掴むべく、「世界のティーカンパニー」をビジョンに掲げ、2024年4月に大谷選手とグローバルアンバサダー契約を締結。「お~いお茶」の販売国は46カ国にまで広がった。

「当社では、2029年4 月までに60カ国、2040年頃には100カ国以上の地域で『お~いお茶』をはじめとする日本の緑茶事業を展開するという目標を掲げています。また、販売地域をただ拡大するだけではなく、『人々の日常にとって身近な存在になること』がブランドとしての思いです。MLBやドジャースとの契約により、北米をはじめとする海外に住むより多くの人にとって、『お~いお茶』が少しでも身近になってほしいと考えました」と古川氏は説明する。

PR会社にビジョンを共有する

本イベントを実施するにあたり、同社は広告会社やPR会社と連携。イベントによっては自社単独で開催する場合もあり、規模感やタレントの起用有無などによって、広告会社やPR会社に依頼するか否かを決めているという。

「広告会社やPR会社などに依頼をする際には、当社の事業や描いているビジョンを伝えるところからスタートします。まずは伊藤園のことを知っていただかなければ、企画も表面的なものになってしまうからです」と古川氏。

企業のことを知ってもらった上で、PRイベントを開催する目的やゴールを説明して、プログラムや演出の検討へと進んでいくという。

「グローバルでの『お~いお茶』の認知拡大」という今回のイベントの目的を達成するため、海外のメディアにも事前に告知とオンラインライブ配信用のURLを案内。

また、LAドジャースでの大谷選手のチームメイトであり、現地でも日本でも人気があるムーキー・ベッツ選手が登壇することで、メディアの注目を集めた。ムーキー・ベッツ選手が「お~いお茶」で鏡開きをするプログラムも用意し、メディアに露出する際の“画づくり” を意識した演出も行った。

ブランドの姿勢を演出で示す

「PRイベントを開催すると、企業としては『あれも発信したい、これも伝えたい』となってしまいがちなのですが、内容を詰め込み過ぎると一番伝えたかったメッセージが薄れてしまいます」と古川氏。そのため、イベントの構成を検討する際は、広告会社やPR会社と議論を重ね、発表内容の取捨選択を行った。

――本記事の続きは5月1日発売の『広報会議』2025年6月号に掲載しています。

『広報会議』2025年6月号
「取材が集まる広報のアプローチ」

〇現代にメディアリレーションはなぜ必要?
あらためて考える、メディア露出の価値
田尻有賀里(リストグループ)
〇新任広報担当者が押さえておきたい
メディアリレーションのポイント【入門編】
千田絵美(フロントステージ)
〇リレーションづくりから協働・共創レイヤーへ
より深い関係構築は仲間意識から生まれる
井口 理(電通PRコンサルティング)
〇CASE STUDY
伊藤園、味の素、パナソニック くらしアプライアンス社、サンスター、アカマイ・テクノロジーズ、TENTIAL
〇メディアが取り上げたくなる情報とは?
取材先の選び方、注目テーマを探る
『TBS NEWS DIG Powered by JNN』、『東洋経済オンライン』、『日経トレンディ』
〇有事に問われる記者との信頼構築
変わる緊急記者会見のあり方
大森朝日(広報・危機管理コンサルタント)
〇メディア露出の価値を最大化するには?
SNS連動で話題を増幅させる次世代PR
高橋 遼(トライバルメディアハウス)
〇メディアリレーション実態調査

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