アンカー・ジャパン、亀田製菓、セブン銀行、フンドーダイのマーケターが語る、各社の強みと課題の議論から生み出されたコラボアイデアとは?

産業カテゴリーが属する課題と各社の戦略の大方針

続いて、各社のブランドが属するカテゴリ―の課題(課題の特定)と、それを解決するマーケティング戦略の大方針について話し合った。

セブン銀行の能勢氏は、キャッシュレス化が進む中で、もはやATM不要論の声も少なからずあることから、社会における意識改革が課題だと話す。今後はポイントを交換できる機能を持たせ、他企業をつなぐ役割を増やしていく。また、提携先銀行のカスタマージャーニーを理解することで、小売り初の銀行ならではのATMマーケティングの可能性を検討していきたいと話す。

フンドーダイの中山氏は、国内人口の減少により海外進出が欠かせないものとなり、現地の味覚にローカライズ化させることが“世界の胃袋を掴む”生命線だ、と話す。また、日本の醤油メーカーは大手5社でシェアの半数以上を占めているため、“醤油の使い方”の幅を広げることで、業界内で自社のプレゼンスを上げるため、醤油に対する固定観念から脱却し、シート状やムース状の醤油などの商品を開発した。

アンカー・ジャパンの加藤氏によると、成長中のオープンイヤー市場でのポジション確立を課題として、現在は売り場の改善を中心に行っているという。また、オフィスワーカーや主婦などカテゴリーごとにインフルエンサーを起用して2台目需要の訴求を行っている。製品開発やコミュニケーションの取り方を変えてきている。

亀田製菓の三宅氏によると、米菓という高齢化が進むカテゴリーからの脱却を図り、次世代ファミリーや単身層をターゲットとしたコミュニケーション戦略・価値創造に取り組んでいる。また、米菓の価値を磨き、「いくらまでなら払ってもよいか」という消費者の「WTP」の引き上げにも注力している。さらに、中長期的には国内の人口減少を見据え、菓子以外の米加工食品事業や中国・ベトナム・北米などの海外市場もマーケティング戦略強化を始めている。

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 各社のブランドを体験できる商品

研究会では、各社のブランドを体験できる商品を持ち寄り、議論を深めた。

他業界からの視点で、各社のCMOが他社のアイデアを提案

研究会の最後のテーマは、それぞれのマーケターが「他の参加企業のCMOだったら、どんな戦略を考えるか」。引き続き熱のこもったトークが展開された。

中山氏は、アンカー・ジャパンに対してまちづくりを絡めた体験の場を提案。AIを活用したコミュニケーションサービス、ブランディングなどもアイデアとして提示した。亀田製菓に対しては、感動と安心感を与える商品の性質をより打ち出すことを提案した。セブン銀行に対しては、利用者へ提供される利息などの経済価値に変えて、体験型の価値の提供や、経年利用への価値提供などを発案した。

加藤氏は、亀田製菓にインバウンド客向けに長期的な視点での情報発信を提案。旅行先でのマストバイとしての訴求や、各国のハイシーズンに合わせたプロモーション展開を提案した。セブン銀行に対しては、顔認証取引サービスの「FACE CASH(フェイスキャッシュ)」を軸に、インフルエンサー施策、防災訴求などにより早く認知を増やすことを示した。フンドーダイには、小売とコラボしたレシピ訴求施策をアイデアを提示。投稿レシピなどの募集など、UGCのムードを作ることを提案した。

三宅氏は、高齢者が安心して使えるATM連携サービス体制を提案した。また、外国人がお金を引き出せる場所としてセブン銀行の独自性を訴求する戦略を示した。アンカー・ジャパンに対しては、低発熱バッテリーの使用をPRに打ち出し、マジョリティー層に安心感を与える訴求を提案。フンドーダイには、コラボレーションや透明醤油を用いた素材の色を生かした米菓作りを提案した。

能勢氏は、アンカー・ジャパンに対し、同社のプロジェクターを活用したキャンプ場での特設イベント、IKEAなどの店舗設置など、サステナビリティに注力する企業とのコラボレーションを提案した。亀田製菓に対しては、糖質オフの商品開発を提案。スポーツジムで販路を増やすなど、健康志向のファンを増やすことを示した。フンドーダイに対しては、本社が熊本にあることから、地域創生に取り組む熊本市との連携によって、日本の食文化を体感できる観光パッケージ企画を提案した。

最後の感想として各マーケターから「外からどう見えているのかがわかり、新しい発見が得られた」「普段交わることのない業界だからこその提案がおもしろかった」といった感想が挙げられ、「CMO X」は締めくくられた。

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