ことばで、ちゃんとあそんでるなぁ。
こうやって書籍にまとめられるコピーは、
広告史において何億と書かれてきたコピーのトップオブトップなわけだから、
もしかしたら異端で、ものすごく一部の特殊なコピーかもしれない。
ただ。コピーってこうだよなぁ、と思いたいし、目指したい。
あそぶって、「ちゃんと自分で考える」ことに近いと思うのです。
こう書けば正しいけれど、それではおもしろくない。
あえて、この単語を削ろうか。
でも、そうすると、これが伝わらなくなるかもしれない。
まあそれは伝わらなくてもいっか。その分目立てば。とか。
いやいや、あそびつつ、ちゃんとぜんぶ伝わるいい方もあるかもしれないだろう?とか。
そんなふうに、モンモンとする。
それが、コピーのたのしいところで、僕が好きなところで、憧れているところ。
むずかしすぎるけれど。
なにを言うかを、なんだか世の中の価値観であったり、調査であったりに。
自分の外の世界に任せがちな時代に、
自分で考えてちゃんとあそぶ。ってことは「覚悟」だと思うのです。
自分は、これを言いたい。こう言いたい。
その覚悟は、きっとこれからAIがどんどんコピーを書く時代に、
人がコピーを書く意味にもなると信じてます。
そんな「覚悟」の末に生まれたコピーには、独特な佇まいがある。
『永久不滅のコピー』を読むと、どのコピーからもその佇まいを感じるのです。
目的を達成しつつも、「目的なんて知らないし」という、お茶目さなのか。
あえてこんな言い方してやったぜという、やんちゃさなのか。
そういう佇まいが、
なんか好き。なんかうれしい。なんかたのしい。
をくれる。
脳ではなく、心に残る。ああ、そっか。だから、永久不滅になるのか。
説明しきれない読後感を、コピーにまとわせられるか、どうか。
は、いかにあそぼうとするか。
に、関係してくるのではないかと、最近漠然と思うようになってきました。
自戒を込めて、「あそぶ」を意地でもやっていきたい。
だって、かっこいいんだもん。

『昭和・平成・令和 時代を超えていまなお心に残る 永久不滅の広告コピー』
宣伝会議書籍編集部編
定価:2750円(本体2500円+税)
ISBN:978-4-88335-625-6
「知っていたけれど、何を意味しているのか」「なぜ名作と言われるのか、わからなかった」コピーや「こういう時代だからこそ生まれた」コピーなど、本書はその広告の背景や時代について知ってもらうことを大事に編集しています。その背景や意図について、実際に制作に携わったコピーライターの方々などによる寄稿(一部取材)を129本収録。時代の流れの中でコピーライターがその商品やブランドとどう向き合い、言葉の力を発揮していったのか。それぞれのコピーにおけるライティングの技や言葉の選び方、広告としての面白さを感じてもらうと共に、一つのクリエイティブができあがるまでの物語として読むことができます。
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