パートナービジネスにおいて、起こりがちなのが「代理店契約を結んでも、案件が上がってこない」という課題です。その原因は、間接販売をなんとなくで始めてしまい「仕組み化」できていないことにあります。本記事は、『ELG(エコシステム・レッド・グロース)パートナー/代理店と共に成長する次世代型マーケ・営業組織の事業戦略』から、パートナービジネスを成功させるために必要な仕組みの作り方について解説します(本記事は、書籍から一部を抜粋・編集して掲載します)。
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形骸化する「パートナー契約」
直販の限界を感じて、パートナービジネス(間接販売)に乗り出したとしても、それだけではうまくいかないのが現実だ。パートナー契約を締結し、プレスリリースを出したものの、半年経っても1件の案件も上がってこない。パートナーにとって「他社の商材の販促」は本業ではないため、自社リソースを投下する動機は弱い。こうした「動かないパートナー」に悩まされる現場は少なくない。
その最大の原因は、メーカー側がパートナービジネスを「科学」できていないことにある。直販領域では「THE MODEL」に代表されるように、プロセスを分解し、KPIで管理し、科学的に改善を積み重ねる手法が定着している。しかし、パートナービジネスの世界では、今なお「担当者の経験」や「お願い営業」という属人的な手法に頼っている企業が多い。
著者の1人であるパートナープロップの井上拓海氏は、株式会社リクルートのSaaS事業部(当時のAirペイ事業シリーズ)でパートナービジネスを立ち上げた人物だ。井上氏自身、当初は手探りでパートナーチャネルを担当していたという。課題感を持ちながら、海外の事例の調査・研究を進めている中に出会ったのが、あるグローバルのPRM(Partner Relationship Management:パートナー関係管理ツール)だった。そこにあったのは単なる“管理ツール”ではなく、“パートナー主導”になるように仕組み化し、科学するアプローチだった。従来の足繁く通うだけの手探りなアプローチとは異なり、数値化とプロセス管理を徹底し、ボトルネックを特定しながら検証を重ねる科学的アプローチ。それが本書で解説している「ELG MODEL」だ。
企業単位ではなく、現場の「担当者(パートナーコンタクト)」が基点
パートナービジネスを科学するための第一歩は、視点の転換だ。契約自体は「パートナー企業」と結ぶが、実際に商品を学び、顧客に提案し、案件を前に進めるのは「パートナー企業の担当者個人」である。本書では、この現場の担当者1人ひとりを「パートナーコンタクト」と定義している。
メーカーの担当者1人に対し、数十社のパートナー企業が紐付き、その先に数百、数千人の「パートナーコンタクト」が存在する。この構造こそが、パートナービジネスが事業にもたらす爆発的なレバレッジの正体だ。当然、販売手数料などの支払いはあるものの、1人当たりの生産性だけでいうなら数百倍にすることも夢ではない。実際に、Airペイ事業部の企画チームでは、5人のチームで、数百人を抱える直販組織と同じ案件数を生み出していた。パートナービジネスの生産性を高めていくことこそが、事業全体の効率化に繋がる。
「パートナーが動かない」と嘆く前に、自社には何人の有効なコンタクトがあり、そのうち何人が「提案可能な状態」にあるのか。この「個人単位」のプロセスを可視化しない限り、適切な打ち手は打てない。
