採用目的のイメージ広告に見せつつ、CMの真の狙いは企業風土改革か/旭化成

旭化成企業CM「ブレイクスルー松嶋」篇 30秒

つまりここに言う「誰か」とはまさに、言葉を発さず、動かず、あるいは他人事のように語る現在の社員たちなのである。だからこそ、「従来の延長線にはない変革を進めていくために、その主体者となる社員の挑戦姿勢を、現在及び将来の社員(求職者)へ発信していく」と「現在の社員」を明示している。つまり、リクルートCMに見せかけつつ企業風土改革を社員に訴えるCMなのだ。

このCMに接した社員たちは、「自分たちが変化し、変革していかなければならない」という並々ならない決意を社外に宣言した会社の本気度に気づくことであろう。

また、将来の社員は、多くの企業の予定調和的なリクルート広告から大きく逸脱した表現を実行させた企業の柔軟性、包容力を直感するはずである。この手の込んだ仕掛けを潜ませたCMによって達成される社員の変化とリクルート効果が楽しみである。

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大島幸男

おおしま・ゆきお/大島BtoBコミュニケーションズ代表。1948年生まれ。1989年より2011年まで、村田製作所の本格的な企業広報・広告活動を総務部長、広報部長としてリード。定年退職後、2011年から2017年まで、ローム メディア企画部顧問。現在、日本広報学会理事、国際CCO交流研究所理事・主任研究員。

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