採用目的のイメージ広告に見せつつ、CMの真の狙いは企業風土改革か/旭化成

破天荒で型破りな社員が登場する旭化成の企業CMが今年3月からスタートしています。旭化成の企業広告といえば、「イヒ!」シリーズや「昨日まで世界になかったものを。」などの名作が知られていますが、新シリーズはそれらとはまた違ったトーン。元村田製作所広報部長の大島幸男さんは、「BtoB企業の企業広告の狙いの大半はリクルーティング(人材採用)」と考えつつも、このCMの真の狙いは別のところにあると見ています。

旭化成企業CM「熱すぎる内川」篇(30秒)

熱い社員が登場するCMに潜む、微妙な違和感

旭化成が、「はみだせ!うみだせ!旭化成」と題して展開しているテレビCMは極めて興味深い。

まず、主役にキャリア入社者を持ってきたところから異色である。彼は、初出勤の日「熱すぎてスプリンクラーから放水される内川君」と「壁を頭と指でぶち壊す松嶋さん」を紹介される。そして、企業人としての喜怒哀楽をすでに経験しているはずの彼でさえ、この二人をみて「なんだ、この会社は。なにかがおかしい」とおびえ自信がなさそうな表情を見せる。

さらに、このCMの映像には微妙な違和感がある。それは、熱い二人を取巻く社員たちが押しなべて大人しく、言葉を発さず、動かないことであり、彼を案内する先輩達もまた、どこか他人事のような話し方や表情をしていることである。

このCMは、多分多くの方々は、いっぷう変わったリクルート広告としてとらえるだろうが、実はもっと深い目的が秘められているのではないかと思う。それは、Webの広告解説のメッセージ「誰かが決めたルールに、縛られない発想を。」「誰かが決めた限界を、壊していく行動を。」「誰かが決めた常識を、疑っていく哲学を。」「誰かが決めた枠組みに、おさまらない夢を。」にはっきりと見えてくる。

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