先輩のもとで仕事をする。コピーを見てもらう。書き直して、また見てもらって、磨いていく。そんな駆け出しの頃を経て、気づけば自分も先輩の立場に。自分でコピーや企画を選び、その良さを語り、伝えて、仕事を引っ張っていく。とても大変で、エキサイティングな役割だなと肌で感じています。
良いものをつくるために。自分で自分の仕事をジャッジしていく時に大切になるのは、心の中に誰がいるか、なんだと思います。この二冊は、まさに心の中に仲畑さんという大先輩を宿す体験そのものでした。
ページをめくるたび、背筋が伸びる感覚。あなたもきっと感じるであろう緊張感と高揚感。
「この言葉は本当に必要か?」「この表現は心に届くか?」仲畑さんの視線を感じながら、自分のコピーを見つめ直していく。
そもそも何を伝えようかを考えるときに思い出すのは、『はっきりと損得を語る場合は別として、何かを伝えようとするとき、その主張を相手の心へ届けるためには、メッセージに実感と共感があるかどうかが重要になってくる。』という仲畑さんの言葉。
締切と完成のことで悩んでいるときに思い出すのは、『広告表現には、つねにまだその上がある。ただ、スケジュールからして今日がリミットであるとか、予算からしてこれ以上増幅できないとか、という物理的要請から、「ここまで」と思考を停止しているだけ。』という仲畑さんの言葉。
『ホントのことを言うと、よく、しかられる。勝つコピーのぜんぶ』には、仲畑さんのコピーが収められています。『みんなに好かれようとして、みんなに嫌われる。勝つ広告のぜんぶ』では、仲畑さんの仕事への向き合い方について語られています。
もしも仲畑貴志クラスがあったなら。ドキドキして、緊張もするだろうけど、とても気になる⋯⋯そんな人にぜひページをめくってほしいです。特別で大切な、一言一句を見逃したくない授業を受けているような気持ちになりました。
読むたびに新しい発見があって、またひとつ成長できる気がします。これから何度も読み返すと思います、目の前の仕事をさらに良い仕事にしていくために。
あなたの心の中にはどんな先輩がいますか?
書籍の情報
仲畑貴志さんの名著2冊がキンドル版になりました!
『みんなに好かれようとして、みんなに嫌われる。勝つ広告のぜんぶ』(キンドル版)
定価:1980円(本体価格1800円+税)
『宣伝会議』に3年半にわたって掲載された人気連載「仲畑貴志の勝つ広告」全82話を完全収録。筆者の経験を通じて語られる本書は、広告の仕事について語りながらも、全てのビジネスに通じる心構えを力強く読者に訴えかけ、広告界にとどまらず全てのビジネスパーソンの心を揺り動かす。
『ホントのことを言うと、よく、しかられる。勝つコピーのぜんぶ 』(キンドル版)
定価:1980円(本体価格1800円+税)
数十年にわたって時代を象徴するコピーを生み出してきたコピーライター・仲畑貴志の全仕事集。これまで手掛けたコピーの中から1,412本を収録した前著『コピーのぜんぶ』の改訂増補版として、更に6年分の新コピーを100本以上追加している。
