宣伝会議の教育講座に、クリエイティブディレクター/コピーライターである小藥 元さんを講師に迎えた特別クラス「コピーライター養成講座 小藥元クラス」が開講します。
講座を担当するにあたり、小藥さんが改めて考える言葉の価値や、コピーライターの役割について4回にわたってお届けします。
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「コピーライターの紹介は難しい」
自己紹介をすることがそれなりに多い。
この間も社長とCMOの依頼からワークショップをすることになり、当然社員の皆さんの前で、はじめましての数分間が与えられる。コピーライターとは何者なのか、何を仕事する人なのかの言語化が社会にされていないため、残念ながら多くの人に正しく理解されていない。
「キャッチコピーの仕事は実は少ない」
私が今まで書いてきた仕事の中で「星になっても、月を歩くだろう。」というコピーが好きだといまだに言ってくれる人が多くいる。これはマイケルジャクソンが亡くなり、46個の遺品がテレビ朝日に集結したときのイベントの際に書いたコピーだ。勿論、見た人の記憶やこころに残るものを書こうと思うが、イベントのポスターコピーな訳だから、期間限定のものと言える。
これがいわゆるキャッチコピーの典型だ。
ファミリーマートのアイスコーヒーが変わった際に書いたコピーは「変新!」。これもまた夏の期間だけ掲載されるものだったりする。なにかポスターに気の利いた1行を書く人?というイメージを壊すため、私の仕事の中で、このようなキャッチコピーを書く仕事は、10分の1と述べる。
もっと期間がロングになるものを紹介する。例えば、B2熊本ヴォルターズのシーズンスローガン。23−24シーズンにおいて「ぶちバケろ。」と書き、ファンに愛され、Bリーグの中でも目立つバズりワードとなった。24-25シーズンは「ぶちのヴォれ!」と進化させた。さらに先日プレーオフ進出した際には、「W1N やるっチェ!イケイケ!!」というコピーを書いた。
実は、ただコピーを書いているわけではない。それはチームの士気を高め一つにする。グッズになり、売上になる。ファンとの強い関係性をつくる。事実、ファンのアカウント名が、チェ!にどんどん変わっていった。結果や現象を生むまでが、プロの仕事ということになると思う。
「10年使われる言葉」
独立してすぐの頃。ワコールの男性下着ブランドBROSのコピーを書いた。
「男が知らなかった気持ちよさ。」と書いた。コピーはブランドコンセプトに格上げされ、10年経った今でもそのコピーが使われ、大きくあしらわれている。自分で分析するのも憚れるが、お客様にとっての価値だけではなく、モノの作る側の視点にもなっている。
川崎市のブランドメッセージ「Colors, Future! いろいろって、未来。」は、2016年に策定した。同時に「川」というロゴを新しくした。それは明らかに期間限定のためのものではない。
ブランドの真ん中を捉える。北極星を示す。さらにその言葉の下、さまざまな活動が行われるか。行動が生まれるか。それを叶えるのがコピーライターの本当の仕事ということになる。
1行を書く。その1行はどこまでも深くて広い。
説明は、ああむずかしい。
(VOL.2に続く)

コピーライター養成講座 小藥元クラス meet© 概要
◯開講日:2025年7月24日(木)19:00~21:00
◯講義回数:全6回
◯開催形式:教室とオンラインを各回自由選択できるハイブリッド開催
◯詳細・お申込はこちらから
<無料体験講座も開催>
6月5日(木)19:00に体験講座『strategy©「それは戦略ワードなのかコンセプトなのかコピーなのか」』を開催!吉田洋基氏(デザインノード)をゲストに迎え、講座で学ぶこと、コピーの考え方、戦略ワードとコンセプトとコピーの違いなどを解説します。詳細はこちら
