「このままだと日本が終わってしまう」
そんな強い言葉とともに投稿された1枚の写真が、X(旧Twitter)上で注目を集めた。写っていたのは、渋谷駅前に掲出されたオーディオテクニカの屋外広告(OOH)。中央に大きく記されていたコピーは、「言葉にできない、ガチでエモい音」だった。
コピーが掲出されたのは、渋谷駅前・東映プラザ屋上の大型ビジョン。掲出は5月1日から始まり、終了日は未定
広告自体に「語彙力」や「若者言葉」といった文言は一切使われていない。それにもかかわらず、投稿へのコメントや引用コメントには、「語彙力の限界を感じる」「逆にわかる」「広告として成立しているのがすごい」といった声が殺到。X投稿のインプレッション数は1500万回を超え、13万件以上の「いいね」がつくなど、大きな話題となった(6月2日時点)。
このコピーはどのような経緯で生まれたのか、そして、その意図とは。オーディオテクニカの担当者に話を聞いた。
「ガチでエモい音」は、どこから来た?
今回のOOH広告は、「オーディオテクニカという会社を、より深く知ってもらう」ことを目的に企画されたという。同社が掲げる理念は「すべての人に、いちばん良い音を」。この理念のもと、音との出会いを届けることを使命に製品や体験を設計してきた。今回のOOHも、“若年層の感性に響く音を届けたい”という思いから生まれている。
掲出場所は渋谷駅前。若年層の目に触れやすいロケーションであることを踏まえ、「思わず見てしまうようなキャッチーさ」を意識したコピーを採用。あえて日常語を用いたのは、その世代にとってのリアリティに近づくためだ。
良い音との出会いは、理屈ではなく、言葉にもできない感性に響くもの──そんな実感を出発点とした表現である。