「これからはAIを“超えていく”領域へ」 電通・並河進氏に聞く、AI時代の広告会社のあり方

昨今、生成AIやAIを使ったサービスが、急速に社会に浸透してきている。広告やマーケティングの領域においても例外ではなく、今後はAIの活用がどんどん進み、業界の構造や仕事のあり方は目まぐるしく変化していくことが考えられる。そのような時代に、従来の広告産業や広告会社はどのように進化していくべきなのか。dentsu Japanで主席AIマスターとしてAI 活用の推進に取り組む並河進氏に話を聞いた。
※本記事は月刊『宣伝会議』7月号の特別レポート「広告ビジネスの経営層に聞く! AIが浸透した時代、広告会社のビジネスはどこに向かう?」の転載記事です。

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並河進 氏

dentsu Japan
グロースオフィサー(特任執行役員)
エグゼクティブクリエーティブディレクター
主席AIマスター

1997年に電通入社。AIを活用したプロジェクトと、企業と社会を結ぶソーシャルプロジェクトが得意領域。2022年9月、電通クリエイティブインテリジェンス発足。東京大学AIセンターとの共同研究をスタート。Augmented CreativityUnitユニットリーダーを務める。著書は、『Social Design』(木楽舎)、『Communication Shift』(羽鳥書店)他多数。読売広告大賞、広告電通賞など受賞多数。

広告会社が持つ2つの強みとは

——AIの活用が進むなかで、マーケティングや広告会社をはじめとする広告産業の役割は、どのように変化していくと思われますか。

電通は広告にとどまらず、企業のバリューチェーンのあらゆる部分に価値を提供するために、以前からAIの活用に取り組んできました。

現在注力しているのは、AIを活用してマーケティングのプロセス全体を大きく進化させること。AIは、“効率化”という文脈で注目されがちですが、それだけではなく、新しい価値を創造していくという面にも活用していきたいと考えています。

特に広告会社は、生活者のインサイトに精通していること、高い創造性を持っていることという2つの強みがあります。これらの強みとAIを掛け合わせることで、クライアントがイノベーションを起こすためのサポートができたらと思っています。

——近年、広告会社は従来の広告ビジネスにとどまらない価値提供を目指して事業変革を進めてきました。広告会社を由来とする電通は今後、どのような事業体になっていくと想像されますか。

「企業や社会、人の成長のためのソリューションを提供する会社」でしょうか。企業が運営する事業のあらゆる部分はもちろん、社会や人もAIとともに支援し、新しい価値を生み出していく会社になっていくと考えています。

——日本の広告メディアビジネスは、これまで広告会社やマスメディア企業が大きな役割を果たしてきました。しかし近年は広告主が自社でメディアを運営したり、クリエイティブを制作したりすることができるようになりました。そのなかで、広告メディアビジネスを担ってきた企業はどのように進化していくべきだと考えますか。

私たちは広告主に対して、大別するとクリエイティブも含むマーケティングのプランニング領域と、生活者とコミュニケーションを行うためのメディア領域のコンテンツ制作も含むサポートを行ってきました。

まずプランニングについては、AIを用いることで広告主が内製化するようになるという話がよく聞かれます。確かに、マーケティング戦略のプランニングにおいて、広告主企業内部でAIが活用される場面は大きく増えていくと思います。

もうひとつのメディアを通したコミュニケーション領域については、チャネルが細分化し、かつワントゥワンに近いきめ細やかなコミュニケーションが求められる時代になっています。

こうした変化にしっかりと向き合おうとすると、内製だけでは手が回らなくなっていくと思います。

電通では、そうしたコミュニケーション全般を受注するだけでなく、常駐や出向などのいろいろな形でクライアントに伴走し、広告主のマーケティングをAIによって変革していくことで、広告主がよりたくさんのチャネルで一人ひとりとコミュニケーションをとることができるようにサポートしていくべきだと考えています。

具体的にはAIエージェントの活用を提案していきます。

…この続きは5月30日発売の月刊『宣伝会議』7月号で読むことができます。

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