CAが進める「テクノロジー会社」への転換 AIとクリエイティブの融合が広告会社の未来を決める

広告業界は今、大きな変革期を迎えている。生成AIの登場により、企業と消費者の接点はより直接的かつリアルタイムなものへと変化。広告会社の役割も、単なるメディアプランニングから体験価値の創出へとシフトしているのではないだろうか。従来の広告ビジネスにとどまらない価値提供を目指す企業のこれからとは。サイバーエージェント AI事業責任者 常務執行役員の内藤貴仁氏に話を聞いた。
※本記事は月刊『宣伝会議』7月号の特別レポート「広告ビジネスの経営層に聞く! AIが浸透した時代、広告会社のビジネスはどこに向かう?」の転載記事です。

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内藤貴仁氏

サイバーエージェント
AI事業責任者
常務執行役員

2001年にサイバーエージェント入社。インターネット広告事業本部の統括本部長等を経て、2010年に取締役就任。現在はAIの研究・開発を担うAI関連事業と、オペレーション事業・クリエイティブ事業・DX事業を統括。2020年に常務執行役員に就任。

広告はなくならないが縮小する

——AIの活用が進むなかで、マーケティングや広告会社をはじめとする広告産業の役割は、どのように変化していくと思われますか。

生成AIの発展により、広告業界はこれまで以上に大きな変化の時を迎えています。従来の広告自体がなくなることはないとは思いますが、既存の市場規模は小さくなっていくでしょう。

これまでは人と企業の間に直接のつながりがないことを前提に、そのつながりをつくる手段として、広告ならびにその広告をつくり提供する広告会社があったと思います。しかし、これからは企業と消費者の接点がよりダイレクトになり、リアルタイムなコミュニケーションが求められる時代になっていく。

そうなると、これまでほどに広告が必要とされる場面は少なくなっていくことが予想されるからです。広告会社においては単なるメディアプランニング機能の提供だけではなく、サービスそのものの開発や価値提供の再定義が求められるでしょう。

企業と消費者を結び付けるプラットフォームの設計や、データを活用したパーソナライズドな体験の提供が今後の広告会社のあり方を大きく左右するはずです。

——近年、広告会社は従来の広告ビジネスにとどまらない価値提供を目指して事業変革を進めてきました。インターネットを軸に広告やメディア事業を展開してきた、サイバーエージェントはどのような事業体になっていくと想像されますか。

私たちはAI研究や技術力を強化し、「テクノロジー企業」へとシフトしてきました。従来の広告会社の役割を拡張し、企業のサービス開発に直接かかわり、消費者と企業がダイレクトにつながる仕組みをつくっていく必要があります。

特に、AI技術を活用することでマーケティングの自動化や効率化が進み、より消費者との接点を強くできると考えています。

例えば、データ解析を用いて個々の消費者の行動をリアルタイムで捉え、その瞬間に最適な広告や情報を届ける。これが実現できれば、広告は単なる告知ではなく、体験そのものになります。

これまでもこれからも私たちは、進化の最前線にいるべき、いなければならない企業だと自負しているので、技術とテクノロジーで突き抜けていきたいと思います。

——日本の広告メディアビジネスは、これまで広告会社やマスメディア企業が大きな役割を果たしてきました。しかし近年は広告主が自社でメディアを運営したり、クリエイティブを制作したりすることができるようになりました。そのなかで、広告メディアビジネスを担ってきた企業はどのように進化していくべきだと考えますか。

従来はテレビや新聞が広告の中心でしたが、今はデジタルプラットフォームへのシフトが急速に進んでいます。

これまでテレビCMや新聞広告でリーチしていた消費者が、今ではスマホやSNSで日々情報を得ている。私たちもその変化に合わせて、企業が持つデータとAIを組み合わせ、リアルタイムでターゲティングし、消費者一人ひとりに最適な形でアプローチしていく必要があります。

また昨今、GoogleのP-MAXキャンペーンやMetaなど大手プラットフォーマーは広告クリエイティブ最適化のため、「クリエイティブの多様性」を重視するようになりました。これらの広告プラットフォームでは、クリエイティブを入稿した後、プラットフォームのアルゴリズムが、個々のクリエイティブに対するユーザーの反応を見て、最適な配信先を見つけます。

そのため、広告のリーチを最大化し効果を高めるためには、多様な発想に基づいたバリエーション豊かなクリエイティブパターンを大量に作成し提供することが不可欠になっていくでしょう。

…この続きは5月30日発売の月刊『宣伝会議』7月号で読むことができます。

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