「コンフォートゾーンを出ろ」という教訓が、人間の幅を広げてくれた

仕事やキャリアは選択の連続です。右か、左か。人生の岐路においては迷うのが当然。しかし、指針となるものさえあれば、最終的には自分にとっての最適解をとることができます。

 

PayPayカードで既存会員向けのマーケティングのトップを務める、佐々木仁(ささきひとし)さんは、大学卒業後にクレジットカード業界へと飛び込み、2年前にPayPayカードという業界に風穴を開けた企業への転職を決意しました。そんな佐々木さんは、仕事やキャリアの選択を迫られたとき、どのようなことを大切にしているのでしょうか。マスメディアンのキャリアコンサルタント・荒川直哉が伺いました。

あえて居心地が悪い場所に飛び込んでみる

──仕事をする上で、指針としていることを教えてください。

10年くらい前、ニッセン・ジー・イー・クレジットというカード会社でマーケティング部門の管理職を務めていたのですが、その出資会社であるGeneral Electric社がコンセプトとしていた「コンフォートゾーンを出ろ」という言葉です。

コンフォートゾーンとは、自分にとって居心地がよい環境のことです。仕事を例に説明すると、慣れた業務をやり続けるのは、失敗する不安がない。そして、いつも同じメンバーと仕事をしていれば、耳が痛いことを言われずに済む。

慣れた環境に留まることは快適です。でも、成長のためには挑戦が必要で、時にはそのゾーンを出て新しい自分を発見することが大事だという話でした。

──選択肢がいくつかあったら、険しい方へ進みなさいということですね。そう言われて、どうでした?

最初はあまりピンときませんでした。でも、せっかくアドバイスをもらったので、何か新しいことに挑戦してみるかと思って。仕事ではありませんが、好きなサッカーの指導者ライセンスを取ってみることにしたんです。指導者ライセンスは少年サッカーやプロレベルの指導者が取得するもので、レベルが高いのはわかっていましたが、思い切って講習会に申し込みました。

写真 人物 佐々木仁(ささき・ひとし)氏

PayPayカード
マーケティング本部 ユーザーエンゲージメント部 部長
佐々木仁(ささき・ひとし)氏
1999年、マイカルカード(現在のポケットカード)入社。3年間の利用者獲得業務ののち、法人営業、与信管理、経営企画など多岐にわたる職種を経験。2007年から産業能率大学大学院で経営管理を学ぶ。2013年、京都移住を機に、ニッセン・ジー・イー・クレジット(現在のニッセン・クレジットサービス)にマーケティング部門のトップとして入社。2023年より現職。

 
──それはいつ頃のことですか。

私が40歳の時です。当然ながら、カリキュラムには座学だけでなく、実技もありました。勢いで行ったはいいけれど、実際は全然走れないし、実技も群を抜いて下手で……。参加者には若い人や元々プロを目指していた人が多かったのもあって、正直恥ずかしいし、苦痛で仕方なかったですね(笑)。

でも、だからこそ挑戦して良かったと思うんです。年齢を重ねていくと、自分より有能な年下の人材を受け入れられなくなるものです。実は私もそうでした。年齢関係なく相手のすごさを素直に認めることができなくなっていたんです。でも、講習会でプロレベルの若い人たちにポンと交ざったら、まったく歯が立たなかった。力及ばない自分というものに、向き合うしかありませんでした。

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荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)
荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

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