生成AI時代に求められる翻訳ツール センシティブな日本語に挑む「DeepL」

ヨーロッパ仕様の高セキュリティを強みに訴求

盛況なインバウンド需要などにより、様々な業界で高精度な翻訳システムのニーズが高まる中、ドイツに本社を置く「DeepL」が日本市場において注目を集めている。同社は高精度な言語AIソリューションを提供しており、製造業やIT企業を中心に導入を拡大している。生成AIによる汎用的な翻訳ソフトが出回る中、同社は欧州仕様の強固なセキュリティや、特定業界向けの専門用語を蓄積可能な「用語集」機能によって差別化を図っている。

写真 人物 DeepLアジア太平洋統括社長に就任した高山清光氏

DeepLアジア太平洋統括社長に就任した高山清光氏

DeepLは、CEOヤロスワフ“ヤレック”・クテロフスキーにより2017年に設立された(本社:ドイツ・ケルン市)。2020年に日本市場に参入し、2023年に日本法人「DeepL Japan」を設立した。

同社の言語AIプラットフォームは、世界228の市場で20万社以上の企業に導入されている。米国「Forbes」誌の2025年版「AI 50(注目すべきAI企業50社)」に2年連続で選出され、ファスト・カンパニーの「世界で最も革新的な企業 2025年版」では世界第5位に選ばれた。

日本市場も拡大しており、現在ではドイツに次いで2番目に大きい市場となっている。東証プライム市場に上場する企業の半数以上がDeepLを導入しており、製造業、自動車、ヘルスケアなど幅広い業種での採用が進んでいる。

国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)のデータによれば、業務で週に1回以上英語を使用している人の割合は約60%にのぼる。英語での会話に課題を感じている人は約56%、発音に対する苦手意識から自信が持てない人は約64%に達している。

エンタープライズ第二営業部の吉岡大地部長は「日本企業にとって言語の壁が競争力の足かせとなっている」と指摘する

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