Q1:現在の仕事内容について教えてください。
私は「広報ふくちやま」の編集を担当しています。まちの魅力を再発見できる内容や、読者が気になっていること、市の政策に関連するエピソードなどを届けるため、市民の皆さんのリアルな声に出会ったり、庁内の多くの部署と連携しながら、広報紙を作成しています。
特に大事にしていることは、市民の皆さんの協力のもとできあがる広報紙なので、1件1件丁寧に取材して編集すること。取材する皆さんの「がんばっとるな!」「よんどるで!」という声を励みに取材から校正までを一貫して担当しています。
これは、2024年12月号の表紙の撮影現場です。被写体の「もっと遊びたい!ピアノも弾きたい!」気持ちを尊重しつつ、自然な一瞬を逃さないようにスタンバイ・・・。
できあがった広報ふくちやま2024年12月号の表紙です。素敵な笑顔をとらえられてホッとしました。
Q2:貴組織における広報部門が管轄する仕事の領域について教えてください。
広報紙や、LINE、Facebook、Instagram、noteといった複数のSNSを活用し、紙だけでは届きにくい層への情報発信にも力を入れています。LINEは即時性、Facebookは地域の関係者向け、Instagramはビジュアル重視、noteでは背景や人の想いを記事で丁寧に伝えるなど、媒体ごとの特性を生かした運用を行っています。
最近ではLINEの機能拡張にも取り組んでおり、メニュー画面の再設計や利便性向上を進めています。たとえば、必要な情報や申請ページへすぐにアクセスできるよう導線を整えたり、市民の利用シーンに応じた情報提供ができる仕組みづくりを検討中です。
すべての媒体で同じように届けるのではなく、それぞれ「誰に伝えたいのか」を意識して、伝え方を選ぶようにしています。
Q3:ご自身が大事にしている「自治体広報における実践の哲学」をお聞かせください。
大変な毎日ですが、ある研修で聞いた「広報紙は民主主義の柱の一つ」という言葉がずっと自分のモチベーションになっています。市民の皆さん一人ひとりが「知る」ことから始まり、「考える」ことを経て、「参加する」ことにつながる──そのきっかけとなるのが広報紙だと思っています。
広報ふくちやまのコンセプトは「このまちをもっと好きになる」。ただ情報を伝えるだけでなく、読んだ人が自分の暮らしやまちを考えたくなるような特集や言葉の届け方を意識しています。「私ならどうする?」と読者が自分事化できるような問いも記事に織り込むよう意識しています。
Q4:自治体ならではの広報の苦労する点、逆に自治体広報ならではのやりがいや可能性についてお聞かせください。
自治体広報は、公平性や正確性が求められます。さらに、感情や思いも伝えるとなると、市民の皆さん一人ひとり捉え方は違うので、毎月頭を悩ませています。一人ひとりの受け取り方を考えながら表現を調整するのは、なかなか難しく、だからこそ面白いとも感じています。
2025年6月号では、福知山市雲原のイベント「ドラム缶転がしタイムレース」を支えてきた実行委員の皆さんを取材しました。雲原を思う気持ちを丁寧に描いた特集です。
後日、読者アンケートで「イベントのことを知り、頑張ってきた人たちをすごいと思った」「毎年参加する地域のお祭りに今年はスタッフとして行きたい」といった感想をたくさんいただきました。
「広報の力でもっと福知山のことを好きになってもらえた」と感じられた瞬間でした。地域の皆さんの熱量を伝えることで、考え方や行動の選択肢を増やすきっかけになったとすれば、それは自治体広報にしかできない仕事だと思います。これからも「このまちをもっと好きになる」広報紙をめざして、少しずつステップアップしていきたいです。
【次回の担当者は?】
京都府久御山町 総務課 秘書広報係の井上裕貴さんです。
