チャーシューの煮汁をお湯で割るだけ 常識破りのラーメン「竹岡式」
竹岡式ラーメンは、勝浦タンタン麺、アリランラーメンと並んで、千葉3大ご当地ラーメンの一つとされる。全国的な知名度はほとんどないが、ラーメン好きの間では知られた存在である。見た目は普通の醤油ラーメンに近いが、スープがより黒く、ねぎの代わりに薬味として刻み玉ねぎが載る。
最大の特徴はスープの作り方が一般的なラーメンと異なること。チャーシューの煮汁をお湯で割るだけで、ラーメンの命ともいえるスープの「だし」をとらないのだ。初めて食べるときは、普段食べ慣れているラーメンとの違いに戸惑いを覚える人もいるだろうと思うほどの、独特な味わいがある。口コミの中には「ただしょっぱすぎるだけ」という辛辣な意見も。とにかく一度食べたら忘れられない強烈な味であることは間違いない。
正確な数は定かではないが、千葉県内房地域を中心に、関東圏内で約40店舗ほどが竹岡式ラーメンの店として確認されている。特に内房では醤油ラーメンや普通のラーメンとして提供されており、店舗側が竹岡式とは謳っていないことも多い。
なぜここまで異質なラーメンが、千葉のご当地ラーメンとして愛されるのか。
竹岡式ラーメン店舗分布図(2026年2月28日時点)
偶然から生まれた竹岡式の原点「梅乃家」
房総半島の中で東京湾に面する、千葉県富津市竹岡。竹岡漁港という小さな漁港があり、小高い丘のような山と海に挟まれたわずかな面積に民家が立ち並ぶ港町だ。押し寄せる波の音が鮮明に聞こえるほど海が近く、静かなこのまちで、平日の夕方でも行列ができるラーメン屋がある。竹岡式の発祥として知られる「梅乃家」だ。県外からわざわざ足を運ぶという人も多い。
小上がりの畳に、ダイヤル式の電話。昭和を感じさせる店内で働くのは全員女性である。10分ほど待って運ばれてきたラーメンは、丼の縁まで真っ黒なスープが並々と注がれ、銀色のお盆の上にこぼれるのもお構いなし。薬味として注文した刻み玉ねぎがこんもりと盛られ、その下には地元の宮醤油で煮込んだ分厚いチャーシュー、メンマ、海苔が1枚。麺は、千葉県の都一製麺の乾麺だ。
