「祝ブロッコリー」 農水省が全力で祝福するワケ

ブロッコリーが今月、「指定野菜」に仲間入りした。政府が国民の食生活に不可欠で重要と認め、生産を支援する制度。1974年にジャガイモが指定されて以来、52年ぶりの追加だが、それを祝う農林水産省のSNSがまさにお祭りのようになっている。ブロッコリーを玉座に座らせ、農水大臣の大臣室や記者会見室で撮影した祝祭の動画を投稿するなど、全力で祝う理由を聞いた。

ブロッコリーの指定野菜入りを祝う農水省のYouTubeの動画

YouTubeの撮影場所は、農水省の大臣室。「農林水産大臣」と書かれた卓上の名札の後ろにある玉座に鎮座するのは、大臣……ではなくブロッコリーだ。ブロッコリーは庁舎内を堂々と進み、押し寄せるファン役の職員をかきわけ、SP役の職員に囲まれながら恭しく運ばれ、記者会見室へ。指定野菜に追加されたことが発表されると、職員らがブロッコリーを天高く掲げながら歓喜する、という内容だ。

Xでも玉座に座ったブロッコリーの姿と、金色の文字で「52年ぶり15品目目」と記した画像を投稿すると、「カリフラワーと戦ったり、自転車のサドルと入れ替わったり、こつこつと活動して認知度を高めてきた結果」「やったねブロッコリー」など、お祝いコメントも寄せられている。

玉座に置かれたブロッコリーの様子を紹介する農水省のXへの投稿

「自分も大好きな野菜であるブロッコリー。半世紀ぶりの節目を多くの方に知っていただきたい」というのは農水省広報室の担当者。指定野菜制度が供給や価格の安定に関わる重要な仕組みでありながら、内容が硬く一般には意識されにくいため、ユーモアを交えて動画にしたという。一方で、エンタメに終始しないよう、指定野菜に加わる理由や制度の説明をコンパクトに伝えるよう意識。最低貯蔵温度が0度であることからチルド室で保存するよう呼び掛けるなど、野菜愛にあふれた農水省らしいメッセージもしっかり加えた。

ブロッコリーを重要人物として扱うこと、大臣室や会見室など実際の空間でリアリティを演出すること、テンポよく見られるように必要な情報はテロップにする、とこだわりは随所に及ぶ。国の中枢の重要な場所での撮影だったが、国民の野菜摂取の促進などの趣旨や目的を伝え、使用許可を得たという。「一番ハードルが高いのは、内部の協力をどう得るか」だ。幹部職員の担当課長らと相談。ブロッコリーということで筋肉自慢の職員が登場するなど「職員の個性やスキルをもって政策を伝えた」という(広報担当者)

次のページ
1 2
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事