「問いを立てる力」と「越境するマネジメント」が、AI時代のマーケターを強くする

GA technologiesは「不動産×テクノロジー領域」で急成長する上場企業です。AI不動産投資サービス「RENOSY(リノシー)」を中心に、BtoC・BtoBの両面で事業を展開しています。マーケティング本部部長を務める片瀬大(かたせ・おおき)氏は、「RENOSY」のマーケティング統括を軸に、オン・オフを横断したコミュニケーション設計、組織づくり、採用まで幅広く担う人物。リサーチ、新規事業、組織開発と多様なキャリアを歩んできた片瀬氏は、マーケティングの本質を「問いの質」と「越境力」に見出しています。現在の仕事の実像、マネジメントで大切にしていること、そして若手マーケターへのアドバイスをマスメディアンの荒川直哉が伺いました。

RENOSYの認知から深い関係構築まで

━━GA technologiesでの役割について教えてください。

現在は「RENOSY」のマーケティング責任者として、戦略設計から施策推進まで全体を統括しています。お客さまにRENOSYを知ってもらう入口から、購入後に信頼関係を深めていくところまで、すべての段階で最適なコミュニケーションを設計することが主な役割です。

僕が入社した2024年、RENOSYのマーケティングチームには、ブランディングやWeb広告の領域にはすでに優秀なメンバーがそろっていました。まずは、彼らを中心に組織を構築しつつ、不足している領域を強化しました。

例えば、RENOSYの物件を所有するオーナーさま向けのファンマーケティングを担う組織は2025年に新設したものです。オウンドメディアについても、お客さまがRENOSYを知る段階から購入後の関係づくりまで、どの場面でどんな役割を果たすべきかを改めて整理し、ミッションを明確にしました。

広告運用は内製化しており、年間約30億円規模のWeb広告を6人ほどのチームで運用しています。SNS広告やYouTube、そして複数のWebサイトやアプリにまとめて広告を配信できるアドネットワークの運用(配信設計や入札調整など)も基本的に社内で行い、AIも活用しながら効率化を進めています。

GA technologies RENOSY事業Marketing 本部部長 片瀬 大氏
2004年、マーケティングリサーチ会社でキャリアを開始し、イギリスの大学院にて修士号を取得。帰国後、KLabを経て、2015年にDeNA、2018年にMIXIでマーケティング責任者を歴任し、新規事業やグローバル施策を推進。組織運営や戦略立案、多国籍チームのマネジメント経験などを重ね、2024年11月より現職。RENOSYのブランド強化とマーケ基盤の整備に取り組む。

━━年間30億ですか。確かに、広告にしっかりと予算をかけているイメージがあります。

前職までに扱ってきた予算規模とは桁が違い、自分自身にとっても大きな挑戦の場になっています。ただ、クリエイティブ領域は、電通時代にau「三太郎シリーズ」などのCMをヒットさせた経歴をもつ篠原誠COO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)が統括してくれています。僕はそのクリエイティブを軸に、オン・オフを含めた全体のコミュニケーションをどう連動させるかという設計を担っています。東京駅や品川駅の大型広告など、統一感のあるクリエイティブが展開できているのはその成果の一つです。

マネジメントで重視するのは「メンバー間のズレを戻す仕組み」

━━片瀬さん率いるマーケティング本部はどのくらいの規模ですか?

いまは40人程度が所属しています。

━━その大きな組織を率いるうえで、どのようなマネジメントを意識されていますか。

一番大事にしているのは、「on the same page(同じページにいる)」状態を保つこと。つまり、共通認識をもつことです。

その重要性を意識するようになったのは、前職のMIXIでの経験からです。僕が所属していたチームはアメリカ人・フランス人・チュニジア人・日本人の僕という構成で、毎朝会議をしていましたが、その日の夜にはメンバー個々人の方向性がズレるんです。誰が悪いわけでもなく、文化的背景が違うから、視点や価値観、考え方にも差があって、同じ状況に立っても違う結論が出てくる。

だからこそ、ズレることを前提に、同じページに戻る仕組みをつくることが重要です。これは日本人だけのチームでも同じこと。人は誰しも価値観や経験が異なるので、認識がズレるのはむしろ当たり前です。その前提に立って、ズレをこまめに見つけ、すり合わせる仕組みをつくることこそが、組織づくりだと考えています。

━━ズレをこまめに修正するために、片瀬さんはどんなことをしていますか?

一人ひとりときちんと話すことですね。具体的に言うと、

・メンバー一人ひとりにチームと個人のミッションを明確に伝える
・1on1は、業務報告ではなく期待と行動とのすり合わせ・調整を目的に設定する

といったことを徹底しています。

━━ズレのない組織をつくるうえでは、採用も重要ですよね。

そうですね。現職でも強く意識しています。そもそも、マーケターは人を口説けないと。お客さまを説得する仕事ですからね。

さらに、GA technologiesに入ってからは、「いい人採用」の重要性を改めて感じています。挨拶をする、デスクをきれいにする、ゴミを分別する。人として当たり前のことをちゃんとできる人が、結局は組織を強くします。

マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント 荒川 直哉
累計4000人以上の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT 企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

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荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

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