まさに“総力戦” マイナンバーカード義務化検討で振り返る、サンリオとアイドルまで投入した“保有率8割”への苦難の広報戦略

自民党が、マイナンバーカード取得の義務化を政府に提言する方針だと報じられ、SNS上では賛否が広がっている。行政手続きの効率化や利便性向上につながるとの受け止めがある一方で、反発の声も少なくない。取得しなかった場合の罰則は設けないとされるが、政府はこれまで「取得は任意」と説明してきた。そうした経緯から、「実質的な強制ではないか」と受け止める人もいる。

マイナンバーカードの保有数はすでに1億枚を突破し、人口に対する保有枚数率は81.2%に達している。当初から批判や懸念にさらされながらも、ここまで普及が進んだ背景には、長年にわたる広報施策の積み重ねがある。ポイント付与、CM、キャラクター、アイドル起用、自治体キャンペーンまで、国や自治体はさまざまな手法で利用促進を図ってきた。この記事では、その歩みを振り返る。

アイドルグループ・=LOVEを起用したCM

アイドルグループ・=LOVEを起用したCM

マイナンバー制度は、社会保障、税、災害対策などの行政手続きで個人を識別し、行政運営の効率化や利便性向上を図る仕組みとして導入された。2013年5月に番号関連法が成立・公布され、2015年10月に12桁のマイナンバーの通知が開始。2016年1月にはマイナンバーの利用と、希望者へのマイナンバーカード交付が始まった。

その後、カードの役割は段階的に広がっていった。2020年5月に通知カードが廃止され、2024年12月2日以降は従来の健康保険証の新規発行が終了。2025年3月24日には、マイナンバーカードを運転免許証として使う「マイナ免許証」も始まった。番号の通知から始まった制度は、本人確認、医療、行政手続き、免許証へと利用範囲を広げてきた。

しかし、利用範囲が広がる一方で、普及には時間がかかった。2021年3月1日時点の交付枚数率は26.3%で、交付開始から5年が経っても3割に届いていなかった。当時から、利便性を実感しにくいことが普及の壁とされていた。

普及施策では、制度への心理的な距離を縮める工夫も重ねられてきた。2014年にマイナンバー制度の広報用ロゴマークとして公表されたマイナンバーPRキャラクター「マイナちゃん」は、その後のキャンペーンやイベントにもたびたび登場している。

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