ファンケルは5月19日、事業戦略発表会を開催し、機能性表示食品「ウェルエイジ プレミアム」を中心としたエイジングケア領域の事業展開を発表した。同社は2035年までの長期経営構想で、10年後の売上高を2025年12月期の8割増にあたる2000億円にする目標を掲げている。その達成に向けた研究開発(R&D)の選択と集中、および「老化細胞」という概念をフックにした新たな戦略を明らかにした。
5月19日に都内で開いた発表会に登壇した、ファンケルの三橋英記社長(左)とCMに出演する俳優の井川遥
「老化細胞」訴求で計画比4倍に
中高年向けサプリメント「ウェルエイジ プレミアム」は2025年4月の発売後1カ月で計画比4倍の売上を記録し、同年5月に一時販売停止となった。同社執行役員の斎藤智子・健康食品事業本部長は、この要因を「老化細胞」「世界初」というキーワードの受容と分析している。
開発当初、「老化細胞」という文言はパッケージへの記載を見送られていた。しかし、バックデータとしての研究紹介において同ワードが高い顧客反応を獲得。その後のアンケート調査でも「老化細胞」「世界初」の訴求力が高いことが示され、同社はエビデンスの確認と公式発信に向けた調整を進め、同年11月の販売再開時にパッケージへ「老化細胞」の文言明記に踏み切った。
他社類似品の参入によるコモディティ化のリスクに対し、同社は明確な差別化戦略をとる。一般的なサプリメントに見られる特定成分の配合量や定性的な効果訴求ではなく、成分(キンミズヒキ由来成分)そのものが持つ効果を自社研究で直接証明するエビデンスに基づくアプローチを採用している。
今後は製品単体の機能訴求に留まらず、CMやPR活動を通じて「老化細胞」という概念自体の認知獲得を図る方針だ。
国内市場の基盤構築を優先し、R&Dの「選択と集中」を加速
ファンケルは2035年までに、「ウェルエイジ プレミアム」の国内売上100億円を目指す。三橋英記社長は同製品をサプリメント事業の基幹商品に位置づける。当面はサプリメントカテゴリーにリソースを集中し、海外展開も視野に入れるが、各国のレギュレーション対応を考慮し、まずは国内市場でのブランド確立と規模拡大を優先する。
また、全社売上高2000億円の達成に向け、R&Dの「選択と集中」を加速させる。競合他社との規模の差を考慮しつつ、差別化を図るため、強みである研究領域を「老化細胞へのアプローチ」「内外美容(内側・外側双方からのケア)」の2軸に絞り込み、次の10年の基幹に据える。「ウェルエイジ プレミアム」以外の派生商品の展開は未定だが、老化細胞は皮膚組織にも存在することから、今後は化粧品領域への技術の横展開も視野に入れる。
同社は2024年にキリンホールディングスの完全子会社となった。キリングループとの事業シナジーについては、キンミズヒキをはじめとする研究データのキリン側への提供といったR&D領域での連携や、マーケティングノウハウの共有が、事業推進における競争優位性になっていると説明した。

