2月28日に、第13回「BOVA」縦型動画部門の受賞作が発表された。同部門は昨年からスタートし、今回で2回目となる。グランプリを受賞した「深夜のペットカメラ」の制作チームの指揮を執った3人が企画から完成までの裏側を語る。
AIの苦手分野は実写で補完
深夜、リビングに設置されたペットカメラがとらえた窓からの侵入者。その正体は野生のアライグマ。パン生地をこね、滑車で遊び、おもちゃの車を乗り回し、本らしきものを長いこと読んでいる。すると急に物音が。驚いたアライグマは外へ飛び出す。起き出してきた住人が電気をつけると、リビングは荒れ放題に。動揺しつつもスマホを取り出し、状況証拠の撮影を開始する住人。スマホカメラ越しに目にしたものは、アライグマのページが開きっぱなしの『小学館の図鑑NEO動物』だった……。
グランプリ受賞作品「深夜のペットカメラ」。
縦型動画部門のグランプリを受賞したのは、小学館の課題「『小学館の図鑑NEO』を思わず買いたくなる!動画」への応募作品「深夜のペットカメラ」。制作した永島佑太郎さん、HiROKiさん、柏木理希さんは、UUUMマーケティング内の「一撃クラブ」に所属している。本作のクリエイティブディレクター/プランナーを務めた永島さんは、企画にあたって、ドキュメンタリー風に撮影する「モキュメンタリーホラー」に着目。「近年のトレンドでもあり、特に監視カメラに何か写り込んでいる、というフォーマットをよく見ます。かけ合わせる課題には、商品の解像度や認知度が高い『小学館の図鑑NEO』を選びました」(永島さん)。
制作にあたっては柏木さんがプロデューサーを、共にホラー映画を制作したこともあるHiROKiさんが監督を務めた。10月中に制作チームで「掲載されている当の動物も夢中になる図鑑」というコンセプトを決め、演出コンテを制作。11月から撮影を開始した。
住宅街に入ってきそうな野生動物であること、なおかつ面白い行動がとれそうかどうかを考慮した結果、アライグマを主人公に。サイズを考慮すると着ぐるみの撮影は難しいことから、動物は全て動画生成AI「Sora2」で作成した。生成のプロセスについて、HiROKiさんは次のように説明する。「ChatGPTにつくりたいイメージを打ち込み、ブラッシュアップを重ねたプロンプトを『Sora2』に入力することで、1回目の生成から精度の高い映像を出力できるようにしました」。動物のかわいらしさを維持しつつ「空を飛ぶ」などリアリティのない展開は避け、一方で「そんなバカな」と笑ってもらえそうなユーモアを交えて設計することにこだわった。



