自治体によるオリジナルIP開発 別府市公営事業局×Pictoria『地獄降輪』が目指す関係人口の創出とファンコミュニティ設計の裏側

別府市公営事業局(大分県)と、AI・IP創出事業を手掛けるPictoria(東京都港区)は、新規IPプロジェクト『地獄降輪(じごくこうりん)』を始動した。

写真 新規IPプロジェクト地獄降輪のキャラクター

キャラクター原案にアニメ監督の内海紘子氏を迎え、「別府競輪×地獄めぐり」の擬人化という切り口で展開する同プロジェクト。既存の有名アニメ作品を誘致・起用する従来の自治体タイアップとは異なり、自治体自らがオリジナルIPの立ち上げに関わり、長期的に地域に根ざしたファンコミュニティの構築を目指す点が特徴だ。

6月4日のティザーPV公開を経て、6月11日にはキャラクターデザインのINEMOUSE氏が手掛けたキービジュアルや声優陣を発表。6月26日20時より公式YouTubeチャンネルにて、出演キャラクターの「血の池」「海」「龍巻」による特別番組の生配信が予定されている。

ティザーPVより。

自治体がIPを自社保有するメリットや、デジタルとリアルを結ぶ動線設計にはどのような意図があるのか。構想・総合企画の別府市公営事業局と、企画・制作・開発のPictoriaに話を聞いた。

自らIPを保有し、地域のニーズに合わせた柔軟な展開を目指す

既存IPのライセンス起用には期間や活用の制限が伴うケースが多い中、別府市公営事業局は長期的に地域の資産となる「オリジナルIP」の開発を選択した。ターゲット層は、これまで公営競技業界との接点が薄かった若年層や女性層を想定している。

プロジェクト発足の背景について、別府市公営事業局の担当者は、「『他にないもの、今後への期待感、別府ならではのもの、短期的な一過性なもので終わらない』という観点から、2025年の春頃より展示会などを通じて情報収集を行っていたのがきっかけです。その中でPictoriaさんと出会い、単なる業務のDXにとどまらない、キャラクターの力を活かしたプロジェクトとしての検討がスタートしました」と振り返る。

根底にあるのは、別府競輪場が抱える来場者の減少および高齢化という課題だ。同局では過去に既存作品とのタイアップイベントを実施し、瞬間的な盛り上がりを実感したものの、一過性で終わってしまう課題を抱えていた。

「今までにアプローチした事のないファン層にまで届く施策にしたいという想いが出発点です。従来の公務員的な考えではなく、公営事業局としての民間的な発想のもと、ターゲット層に真っすぐ刺さるクリエイティブや施策にすることを重要視しています」と担当者は語り、自らIPを保有することで、時代の変化や地域のニーズに合わせた柔軟な展開が可能になると説明する。

中長期的な指標としては、「まずは地元の皆さまに愛される存在になること(定性)、そしてこのプロジェクトをきっかけに別府競輪、ひいては別府市全体へと興味を持っていただき、実際の来場や観光誘致(定量)につなげていくこと」を目指す構えだ。

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