エンタメ業界の営業職への転職は「コンテンツ愛」だけでは通用しない? 業界のリアルと成功の秘訣

エンタメ業界への憧れから営業職を志望する人は多いものの、「好きなコンテンツに関わりたい」という思いだけでは転職は成功しません。マスメディアンでエンタメ業界の転職支援を得意とするキャリアアドバイザー・加藤祐人が、業界特有の営業スタイルと求められるスキル、そして確実にキャリアを築く戦略を解説します。

エンタメ業界の営業職はなぜ人気?転職市場の現状

Q: エンタメ業界の営業職の転職市場はいかがでしょうか?

成長産業のため、採用意欲は高いですね。日本政府は2033年までにエンタメコンテンツ全体での海外売上高を大幅に増やす方針を掲げており、実際にコンテンツ産業の海外売上高は、2010年から2022年にかけて1.3兆円から4.6兆円規模へ拡大しています。また、2025年の日本国内コンテンツ市場(IP・エンタメ関連)は、前年比4%増の約15.8兆円に達する見込みです※1、2

一方で、人気の業界ですので希望する求職者が非常に多く、転職難易度は相対的に高くなっています。求人が出てもすぐに採用が決まり、募集終了してしまうケースが多く、他業界と比べると、募集期間が短いのが特徴ですね。

また、企業側の採用ハードル(募集要件)も高い傾向にあります。そのため、しっかりとした準備と戦略が必要になります。

加藤祐人氏

Q: エンタメ業界の営業職への転職で、注意すべきことについて教えてください。

最も多い誤解は「営業スキルさえあれば通用する」という考えです。確かに営業の基本スキルは重要ですが、エンタメ業界の営業は一般的な「モノ売り」とは根本的に異なります。

映画・テレビ業界、音楽業界、出版業界、玩具・ゲーム業界といったメーカーやIPホルダーであっても、従来のルート営業のようなモノ売りの営業は求められていません。むしろ「売る」というより「共創」に近い仕事なんです。

エンタメ営業への転職が難しい理由と求められるスキル

Q: エンタメ業界の営業職では、どのようなスキルが求められるのでしょうか?

エンタメ業界の営業職として活躍するためには、多岐にわたる業務スキルが求められます。具体的には、クライアントとの関係構築、企画提案、契約交渉・管理、マーケティング支援、プロジェクト運営・コーディネート、市場調査・トレンドの把握などです。

例えば、業界ごとの主な業務は下記のとおりです。企画要素が強く含まれているのがおわかりいただけると思います。

・映画業界:映画館への作品配給、企業向けタイアップ・広告の提案
・音楽業界:アーティストの楽曲のライセンス契約、やライブイベントのスポンサー営業
・ゲーム業界:ゲームの広告枠販売、新規プラットフォームへの展開提案
・テレビ業界:番組スポンサーの獲得、商品提供のタイアップ企画

※※※※※

Q: 広告業界の経験は、エンタメ業界で評価されますか?

広告会社の営業職として培われたクライアント対応力、企画提案力、マーケティングスキル、そしてクリエイティブな発想力は、エンタメ業界でも非常に重宝されます。広告業界で磨いた「成果を出すための営業活動」のスキルやマインドセットは、エンタメ業界でも即戦力として活躍するための基盤となります。

さらに、エージェンシーとしてエンタメ案件の企画・提案に携わった経験は、当然、プラスに評価されます。

また直近では、海外市場も大きく伸びており、国内IPの海外輸出(アウトバウンド)の需要が高まっています。そのため、ナショナルクライアントやグローバル案件の経験があるとより評価される傾向にあります。

Q: 書類選考や面接で重視されるポイントを教えてください。

主に3つのポイントが重視されます。

まず、エンタメ案件に携わった経験があるかどうか。次に、ステークホルダーを巻き込む力。そして企画力です。

ステークホルダーを巻き込む力については、案件ベースでどのように介在価値を発揮したかを具体的に確認されることが多いですね。

業界未経験でも評価される? 転職成功のためのアピールポイント

Q: エンタメ案件の経験がない場合、どのような点で評価されるのでしょうか?

先ほど挙げた、ステークホルダーを巻き込む力と企画力をアピールすることをおすすめします。

まず、巻き込む力。特にクライアントとのコミュニケーション能力ですね。クライアントのニーズをヒアリングし、最適なプランを提案しながら信頼関係を築くスキルは、映画のスポンサーシップ提案やアーティストとのタイアップ企画でも必須です。

企画提案力も重要です。クライアントのブランドイメージやニーズに合わせた広告キャンペーンの企画・提案経験は、エンタメコンテンツを使ったタイアップやプロモーション企画でそのまま活かせます。

さらに、市場分析・トレンド把握能力、関係者との調整能力、プレゼンテーション力、数字に基づく目標管理と成果意識、クリエイティブな発想力、デジタル・SNSの知識、そして広告会社やメディアとのネットワークなど、広告業界で培ったスキルの多くがエンタメ業界でも重宝されます。

Q: 成功する人の共通点は何でしょうか?

最も重要なのは、コンテンツが好きであること、エンタメに対しての熱意を持っていることです。そして、エンタメ業界の市場感やIPビジネスを理解していることも欠かせません。

エンタメ業界を目指すためのキャリア戦略と準備

Q: エンタメ営業職を目指す場合、どのようなキャリアがありますか?

もし、現職がエンタメ関連のお仕事ではない場合、直接IPホルダーを目指すのはなかなか難しいことが多いです。まずは即戦力となれる経験を積みましょう。エンタメに関係する仕事、例えばエンタメ案件に携わることのできる広告会社などに視野を広げることが有効です。そのとき重要なのは、希望している種類のエンタメ(映画なら映画、アニメならアニメ)に間接的でも良いので関わること。そこで営業経験や、プロモーション企画、マーケティング支援の実務経験を積み、IPホルダー側へのステップアップを目指すのが王道です。

業務外でのスキル習得のロードマップとしては、エンタメ業界の知識、特にIPビジネスの仕組み(ライセンス契約、収益モデル、著作権)や業界のトレンド(メタバース、NFT、デジタル配信)の理解が必要です。

同時に、特定のコンテンツだけではなく、幅広いコンテンツに触れましょう。自身の趣向とは異なっていても、話題になっているコンテンツや流行にはなるべく触れて、実際に体験することで、業界への視野が広がります。

そして、先ほどお話した通り、アウトバウンド市場が拡大しているため、語学力(特に英語、中国語)の習得も今後ますます重要になるでしょう。

エンタメ転職のリアルな成功事例

Q: 印象的な転職支援事例を教えてください。

アイドルのマネージャーを経て、コールセンターというキャリアからエンタメ業界に戻りたいという方を支援したケースがあります。

当初、ご本人はコンテンツメーカーでの企画職やマーケティングを選択肢として考えていましたが、最終的に転職先に選んだのは、エンタメに強い広告会社でした。

具体的には、音楽業界を軸足とした総合広告会社で、デジタル広告やテレビなどの媒体をはじめ、屋外広告・交通広告・イベントなどのプロモーションメディアで豊富な実績を有する企業でした。顧客は国内の主要レコード会社・ゲーム会社、美容系企業と多岐にわたります。マスコミにも数多く取り上げられる革新的な広告を手がけている会社です。

Q: この方の意思決定のポイントは何だったのでしょうか?

将来的なキャリアの広がりです。転職活動中にさまざまな企業の話を聞いた際、広告業界でスキルと経験を積むことによって、将来的にエンタメ業界でできることが広がり、直接エンタメ業界に入るよりも、より多様なキャリアパスが開けると考え、決断されたそうです。

エンタメ営業に向いている人と転職成功のポイント

Q: エンタメ業界の営業職に挑戦すべき人の特徴を教えてください。

まず、絶対に「このコンテンツに関わりたい」という熱意を持っている方ですね。

さらに、成長産業に関わりたい方にもおすすめです。大手映画会社がゲーム事業に進出したり、映像制作会社がIPグッズに強いアパレル企業を買収したり、アニメ業界の収益構造に変化の兆しがみられたりと、業界として変革期に入っています。こうした変化を楽しめる、ビジネスチャンスと捉えられる方には非常に魅力的な領域だと思います。

Q: 最後に、エンタメ業界への転職を考えている方へのメッセージをお願いします。

エンタメ業界は確かに魅力的ですが、単なる憧れだけでは通用しない厳しい世界でもあります。しかし、適切な準備と戦略があれば、必ず道は開けます。

マスメディアンは、エンタメ業界に至るキャリアプランを具体的に提示できることが強みです。直接的なルートだけでなく、広告業界を経由するなど、多様なアプローチ方法をご提案できます。エンタメ業界への転職をお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたの経験とスキルを最大限に活かせるキャリアパスを一緒に見つけていきましょう。

※1:経済産業省「エンタメ・クリエイティブ産業戦略(エンタメ・クリエイティブ産業戦略~コンテンツ産業の海外売上高 20 兆円に向けた5ヵ年アクションプラン~)」
※2:ヒューマンメディア「2025年の日本の国内コンテンツ市場の各分野発表・推計値の合計は、前年から4%増の15兆8,676億円。オンラインのコンテンツ・広告の合計が市場の過半を超えた。」

まとめ

エンタメ営業は「コンテンツ愛×ビジネススキル」が成功の鍵。広告業界経験者なら企画提案力やクライアント対応力を活かせるチャンスが豊富にあります。成長市場での挑戦を考えているなら、まずは専門キャリアアドバイザーに相談を。あなたに最適なエンタメ業界へのルートを一緒に見つけましょう。

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加藤 祐人

マスメディアン
CAチーム キャリアアドバイザー
国家資格キャリアコンサルタント

マーケティング・クリエイティブ職種を専門とするキャリアコンサルタント。新卒で入社したアパレル企業で店長として店舗運営に携わる中で、クリエイティブに関わる人と仕事がしたいという思いを強め、マスメディアンに入社。採用・転職両面型の支援を担当した後、CAチームへ。「ただの仕事探し」ではなく、その人の人生の一部を豊かにするために伴走・支援することを大切にしている。趣味はスニーカー集め、海外サッカー観戦。

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