商品名ではなく「言葉」でカクテルを頼むバー「BAR グラスとコトバ」が、東京・渋谷に期間限定でオープンした。若者の酒離れやあえて酒を飲まない「ソバ―キュリアス」などアルコールの消費方法が多様化する中、カクテルやバーの魅力を体験してもらおうと、サントリーが企画した。筆者は体質的に酒がほぼ飲めず、バーやカクテルに関してはド素人だが、果たして楽しめるのか。恐る恐るバーをのぞいてみた。
いろいろな種類の酒が並ぶバー
入り口を通ると、「グラスルーム」の壁にはグラスと、言葉が書かれたコースターがずらりと並んでいる。期間中前半(7月21日まで)はソニーミュージックとコラボし、King GnuやYOASOBIなど120組150曲から厳選した歌詞をコースターに記載。期間後半は、ライターなど言葉のプロが書いた言葉が、コースターに書かれている。その中から、「ほのかに甘い香りにただ身を委ねてしまいたい」「逆に元気をもらいました。って最高の褒め言葉」など今の気分に合う言葉や、甘さ・辛さ、アルコールの強さ・弱さ、ノンアルコールなどから選び、バーテンダーに持っていく仕組みだ。
グラスやコースターがずらりと並ぶ「グラスルーム」
グラスを持っていくと、埼玉、東京、神奈川の店で実際に活躍するバーテンダー約40人が交代で、8人がカウンターに立ち、言葉からイメージするカクテルを作り、説明しながら色鮮やかなドリンクを注いでくれる。果たして、酒が飲めなくてもバーに行ってよいのか——。筆者の選んだカクテルを作ってくれた、東京・立川市や日野市の店に立つバーテンダーの高田慶太氏に率直に聞いてみた。まず返ってきた言葉は「お酒が飲める、飲めないは気にせず、遊びに来てください」だった。「まずは気軽に楽しんでもらうことが一番。カクテルの名前や酒の種類がわからなくても、甘め、ドライ、アルコール、ノンアルコールなど好みを伝えていただければ大丈夫。自分の好みなどを相談しながらおいしい飲み物を選ぶというバーの楽しみ方を知ってもらうために、酒やカクテルに詳しくない人でも言葉や気分から選べるという今回の取り組みは革命的で、バー文化やカクテルを楽しむ裾野が広がればうれしいです」と期待する。
言葉に合わせてカクテルをつくるバーテンダー
「BAR グラスとコトバ」は今回で第3弾。前回は10日間の開催で3900人が利用し、その後300人が実際にバーに行ったとの結果が出た。今回は、開催期間を1カ月間に延ばし、期間中は1万人の利用を見込んでいる。運営するサントリーは、ウイスキーなど100年以上前から洋酒文化の創造に努めてきたが、近年はバーやカクテルになじみのない層も多いという。同社宣伝部の正田恵氏は「お酒のスタイルや空間、彩りのある生活を提案し、より多くの方がバーの扉を開けられるよう背中を押すきっかけになれば」と、イベントに込めた思いを話した。

筆者が選んだカクテル。お酒が飲めなくても、ノンアルコールで作ってくれる




