ゼロから挑むプロジェクト運営術・アキタの新卒採用とドライバーコンテスト

大型トラックを主力とする物流企業アキタ(本社・名古屋市)はこれまで、即戦力を重視しドライバーの中途採用をメインとしてきた。しかし、人口減少やデジタル化の進展といった社会環境の変化を見据え、戦略的に新卒採用と若手育成に取り組む方針へと転換した。同社経営企画室のHR戦略課で課長を務める三島さおり氏は、経営企画、新卒/中途採用、そして広報の3部門を統括している。社内の活性化とデジタル化を推進し、社員一人ひとりの価値を引き上げるための取り組みを主導する三島氏に、新たなプロジェクトを成功に導いた要点と、その背景にある組織づくりの思いを聞いた。

即戦力重視からの脱却と新しいプロジェクトの始動

アキタでは1036人の社員のうち、約750人がドライバーとして活躍している。これまでは即戦力を重視する文化が根付いており、採用活動は中途採用が中心だった。しかし、業界全体が直面する人口減少やデジタル化の進展、さらに長期的な視点での社員育成の重要性を背景として、同社は戦略的な新卒採用へと舵を切った。

HR戦略課課長の三島さおり氏は、全国の営業所に若手社員を配属し、経験豊富なドライバーが運行業務に専念できる体制づくりを進めている。その一環として、社内を活性化させるための新規プロジェクトを立ち上げることになった。

写真 HR戦略課 課長 三島さおり氏

HR戦略課 課長 三島さおり氏

しかし、ゼロから企画を立ち上げ、周囲を巻き込んで進行していくためには、適切なマネジメントの知識が不可欠である。そこで三島氏は、宣伝会議が主催するプロジェクト担当者養成講座を受講した。この講座を通じて、ゴール設定から逆算して行動計画を立てる手法をはじめ、リスク管理や課題管理の進め方といった、プロジェクト運営の基礎を習得した。

三島氏はこの学びについて、「目標を明確にして進めることを学んだおかげで、ゼロから企画するドライバーコンテストや新卒採用プロジェクトでも、順調に進行できました」と振り返る。立場の異なるメンバーが一つの方向に向かって進むための具体的なスキルを得たことが、その後の大きな成果へとつながっていく。

社員の技能と意欲を可視化するドライバーコンテスト

講座での学びを実践する最初の大きな取り組みとして、三島氏は2025年2月にドライバーコンテストを初めて企画した。このコンテストの目的は、個々のドライバーのスキル向上とモチベーションの活性化にある。

競技内容は、全国からエントリーされたドライバー30名が大型部門と中型部門に分かれて、運転技術・整備知識・法令知識の3分野で構成され、その総合点によって順位を競う。優勝者にはマイスター制度として、制服に付けるワッペンやヘルメット用のステッカーが付与される。日々の努力と成果を可視化することで、ドライバーとしての誇りを醸成する狙いがある。社内報での結果紹介や家族が観覧できる環境の整備により、社内外へ情報を発信し、物流業界全体のイメージ改善にも寄与している。コンテストは、2026年以降も定期的な社内行事として継続して実施されている。

写真 写真 ドライバーズコンテストの様子

写真 写真 ドライバーズコンテストの様子

写真 写真 ドライバーズコンテストの様子

写真 写真 ドライバーズコンテストの様子

ドライバーのモチベーションアップとスキル向上を目的に開催する「ドライバーコンテスト」

初めての企画でありながら円滑な運営を実現できた背景について、三島氏は、「講座で学んだ『ゴールから逆算して段取りを決める』手法が活きており、誰が何を担当するか、各段階での確認ポイントを明確化できました。初回から円滑に運営でき、今では年1回の定期開催として定着しています」と語る。

並行して動き出した新卒採用プロジェクトも、同社にとって初めての試みだった。若手登用を通じた社内活性化やデジタルネイティブ世代の育成などを目的として、2025年4月に本格稼働した。明確な採用目標を設定し、逆算して行動計画を立案した結果、見事に目標人数を達成し、2026年4月に1期生が入社している。「ゴールを決め、各段階でやるべきことを整理したことで、迷わずに進められました」と三島氏は話す。

新卒採用の成功と誰もが活躍できる組織づくりへ

コンテストと並行して動き出した新卒採用プロジェクトも、同社にとって初めての試みだった。若手登用による社内活性化やデジタルネイティブ世代の育成を目的とし、2025年4月に本格稼働した。

初めての経験ゆえに不安も大きかったが、ここでも逆算思考が力を発揮した。明確な採用目標を設定して行動計画を立案し、ハローワークや学校訪問といった地道な活動を積み重ねた結果、目標人数を達成して2026年4月に1期生が入社している。「ゴールの定義を明確にし、各段階で遂行すべきタスクを整理しました。そのうえで、「何を優先軸とする戦略」で進めるべきか、そして「どの状態が真のゴール」なのかを合意形成しながら迷わずに進められました」。これにより、途中の打ち合わせで要件や論点が変更になっても、その変化を迅速に修正・最適化し、迷うことなくプロジェクトを推進するマネジメントが可能になりました。と三島氏は話す。

複数のプロジェクトを成功に導いてきた三島氏の視線は、さらに先の組織づくりへと向けられている。女性でも活躍できる職場環境の整備や、多様な家庭環境に対応できる柔軟な働き方を導入し、すべての社員が挑戦の機会を得られる組織を目指している。現在は、社長とともに人事評価制度の構築という重要プロジェクトも進行中だ。

「すべてのプロジェクトの究極的ゴールは、社員が『この会社で働きたい』と感じる環境を作ることです」と三島氏は語る。ゼロから挑戦する不安を乗り越え、従業員エンゲージメントの向上を後押ししたのは、プロジェクト担当者養成講座での実践的な学びだった。立場の異なるメンバーをまとめ、一つの目標に向かって組織を動かすスキルは、変革に挑むすべての企業の原動力だ。


従業員エンゲージメントの向上や、初めての採用活動に活用できたのは……
「プロジェクト担当者養成講座」(旧プロジェクトリーダー養成講座)でした。

本講座では立場の異なるメンバーが一つの方向に進むために必要なマネジメントスキルを学びます。

advertimes_endmark

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事