freeeはなぜChatGPTアプリで2万件利用を生んだのか 確定申告の “困った瞬間” を捉えたAI戦略

ChatGPT上で外部サービスを利用できる「Apps in ChatGPT」は、導入すれば自然に使われるものではない。ユーザーが自らアプリを呼び出す必要があり、動線面には課題もある。そんな中、freee(フリー)が提供する「freee確定申告」は、確定申告シーズンに合わせた投入で約2万件の相談利用を生んだ。なぜ利用につながったのか。同社のAI戦略とあわせて聞いた。

税理士Q&AをもとにChatGPT上で相談

ChatGPT上で「カフェ代は経費に入りますか」と相談する。すると、freeeが蓄積してきた税理士などのQ&Aデータをもとに、関連する回答が表示される。さらに、自分で確定申告を進める動線や、税理士に依頼する動線も用意されている。これが、freeeが提供するApps in ChatGPT対応の「freee確定申告」だ。

Apps in ChatGPTは、ChatGPT上で外部サービスを利用できる仕組みである。だが、現状ではユーザーがアプリを追加したり、会話の中で呼び出したりする必要がある。freeeによると、一度アプリを入れた状態でチャットに進めば、その会話の中では比較的自然に利用できる。一方、新しい会話を立ち上げる場合には、改めてアプリを選ぶ必要があるという。

写真 freee 確定申告の説明

ChatGPTアプリディレクトリからアクセスして、右上にある「接続する」ボタンを押すことで連携可能に

確定申告期の約2週間で2万件利用

動線面の制約はありながらも、freee確定申告は一定の利用を生んだ。同社によると、確定申告期の約2週間で相談件数は約2万件に達した。社内で想定していた水準の約10倍だったという。

freeeの執行役員 個人事業統括本部長 兼 スモールビジネスプロダクト本部長の福島広大氏は、確定申告というテーマが2月中旬からの約1カ月に集中するサービスであることを踏まえたうえで、「世の中的に確定申告が一番盛り上がるタイミングでサービスを当てることができた」と振り返る。

年始早々にキックオフ、21日までに審査へ提出

成功要因の一つは、時期を逃さなかったことだ。OpenAIがグローバルでApps in ChatGPTの開発者審査を開始した2025年の年末。freeeは年明け早々に動いた。1月6日に福島氏や開発部長らが集まり、タスクフォースを立ち上げた。1月21日までに開発して審査に出すというスケジュールを組み、確定申告開始のタイミング(例年2月16日スタート)に間に合わせることを優先した。

開発体制も小規模だった。今回の開発は、ほぼ1人のエンジニアが担ったという。Apps in ChatGPTを上申した個人事業統括本部・部長の澤悠詩氏がプロジェクト推進し、福島氏が全社横断で調整を進め全体をハンドリングした。開発だけでなく、リーガル、リスク管理、セキュリティなど複数部署を巻き込む必要があったためだ。

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