モノが語りかける惨さ 「倫理なき技術の行く先」を知る長崎から世界へのメッセージ

機械、ドローン、自動運転、AIなどの技術は目を見張る進歩を遂げてきた。しかし、ウクライナ侵攻でわかるように、そうした最新技術が人の命や日常を奪い、未来に暗い影を落としていることも事実だ。81年前、広島と長崎に投下された原爆が最新兵器だったように——。「長崎原爆の日」である8月9日付の長崎新聞に掲載された広告企画では、こうした科学技術の進歩が奪った命やもの、日常を、被爆資料を通して伝えている。

高熱でぐにゃりと曲がったガラス瓶、原爆投下後に広がった火災で中の米まで真っ黒に炭化した弁当箱、熱線を受けて沸騰し泡だった瓦、曲がった眼鏡。原爆が投下され、一瞬で長崎の街を焦土にした熱線は4000度。ガラスは1800度で変形する。この4000度の熱線を浴びた人間はどうなるだろうか。原爆の威力、恐ろしさ、一瞬で人の命を奪う惨さを、物を通して、読者の想像力に訴えている。

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変形したガラス瓶。ガラスは1000度で変形するが、原爆の熱線は4000度だった

こうした想像力に訴えるのも、2020年の石畳の広告から一貫して続く「想像力は最大の抑止力」というテーマを大事にしているからだ。そして、普段は原爆資料館で静かにメッセージを伝えている被爆資料にも目を向けてほしいという制作チームの思いもあり、フォーカスした。

長崎原爆資料館(長崎市)によると、所蔵している写真や絵画、物そのものが原爆の熱線を浴びた被爆資料は約2万点。資料館整備のために市職員が収集したもの、市民が焦土と化した長崎の街で焼け跡から拾ったもの、戦後に家を新築する際の工事中に発見したものなどがあるという。戦後81年となる今は寄贈の形も変わり、被爆者が亡くなった後の遺品整理で出てきたものを遺族が寄贈するケースが増えている。

写真 中に入っていた米まで炭になった少女の弁当箱

中に入っていた米まで炭になった少女の弁当箱

こうして81年経った今もなお寄贈が続き、原爆の悲惨さを伝える被爆資料、静物が語りかける言葉を表現しようと、採用。撮影できない資料もあることから、資料を渡し、イラストを描いてもらった。新聞広告には、ほぼ実寸大で掲載している。「今回は被爆者の証言やビジュアルは出てこないが、被爆資料が私たちに語りかけてくるという仕掛けを考えた」と、長崎新聞社地域ソリューション部ソリューション推進課の後藤洋平氏は話す。

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