楽天グループ最大級のビジネスイベント「Rakuten AI Optimism」が8月5日から7日まで、パシフィコ横浜(横浜市)で開催された。ビジネスカンファレンスの一環として6日に行われたセッション「CMOの意思決定を深掘りする―顧客価値を事業成長につなげるために」では、ファミリーマートのエグゼクティブ・ディレクター CMOの足立光氏と、楽天グループの取締役副社長執行役員 Group CMOであり、楽天モバイルの常務執行役員 CMOを務める河野奈保氏が登壇した。全国に店舗網を持つリテールと、多様なサービスが連動するエコシステムという異なる環境で事業を牽引してきた両氏が、顧客価値をいかに事業成長へと結びつけるか、その実践的な視点を語り合った。
経済圏の交差から生まれるシナジー
セッションは、両社の経済圏が交差する象徴的な取り組みとして、7月1日から開始されたファミリーマートの「楽天スーパーポイントアッププログラム(SPU)」への参画を起点に進められた。これは、楽天グループ外の企業としては初の試みとなる。具体的には、全国約1万6400店舗のファミリーマートで月間3000円以上買い物し、楽天ポイントカードを提示すると、楽天市場でのポイント倍率を0.5%上乗せする施策だ。
開始からわずか1カ月で、早くも顕著な効果が現れている。足立氏は、ファミリーマートにおける楽天ポイントカードの利用者比率が「4ポイント増えた」と明かした。これは非常に大きな伸び率であり、取り組みの初期効果の高さを物語っている。河野氏も、楽天側でのキャンペーン達成者が前月比で15%以上増加したと報告し、両社にとってWin-Winの関係が築かれていることを示した。
さらに、この取り組みが持つポテンシャルは大きい。両氏が言及したアンケート調査では、本施策を知ったユーザーの54.8%が「ファミリーマートでもっと買い物をしたい」、56.2%が「楽天市場での買い物を増やしたい」と回答しており、認知の拡大がさらなる行動変容を促す可能性を示唆している。河野氏は、この結果について「ポテンシャルしかない」と期待を寄せた。
特に注目されるのが、コンビニの主要顧客層である10代への影響だ。これまで「ポイ活」に馴染みの薄かった若年層が、このSPU連携をきっかけに楽天経済圏でのポイント活用を始める意向が他の世代より高いことがデータで示されており、新たな顧客層の開拓にもつながっている。
ファミリーマートが仕掛ける「来店理由」の創出
続いて足立氏は、自身がファミリーマートで推進してきたマーケティング戦略の全体像を解説した。その根幹にあるのは、「提供価値の再定義」「施策の話題化」「ご飯以外の来店理由の創出」という3つの柱である。
まず、5年前に「ファミリーマートが提供する価値」として5つのキーワードを再定義し、それ以降、一貫した方針で施策を展開してきた。これは、当時やや方向性がぶれていたブランドイメージを確立するための重要なステップであったと足立氏は振り返る。

