熊本県のPRキャラクター、くまモンが8月16日、熊本地震が発生した7月28日以降休止していた活動を19日ぶりに再開した。被害の大きかった同県氷川町の避難所を回り子どもや被災者と笑顔で触れ合う姿は、県内外の多くの人にも元気を与えた。もともとは九州新幹線の全線開業に向けて熊本をPRするために生まれたキャラクターのくまモン。2016年と今回の地震でも活動のあり方には苦悩もあったが、復興の象徴、そして熊本の心の支えになっている。
7月28日午後4時27分、熊本を大きな揺れが襲った。熊本市中心部にあるくまモンの活動拠点「くまモンスクエア」も揺れ、幸いにもくまモンのステージは開催されておらず通常より人は少なめだったが、スタッフが客を速やかに避難させた。熊本県くまモン課の職員は打ち合わせ中に被災。課長の山田崇氏は「10年前を思い出すような大きな揺れで、みんなで机の下に隠れた」と地震発生時を振り返る。すぐに人的・物的被害がないかを確認、県庁としては何よりも被災地の状況把握や支援を最優先にしなければならない。「緊急事態には県職員もBCPの対応が必要になる。くまモンに関しても通常通りの活動は絶対できないと思った」(山田氏)。
感情の面でもくまモンの出番は難しかった。10年前の熊本地震でもそうだったが、支援物資の準備、道路の寸断、停電などで混乱しているときに、くまモンが無邪気に活動している場合ではない。それは、くまモンが人を傷つけないため、そして、みんなから愛されているくまモンを守るためでもある。職員の態勢だけでなく、道義的な意味合いでも活動は難しいと即座に判断。10年前は何も告げずにひっそりと活動を休止して世界中から心配するメッセージが届いたため、きちんと知らせようと、発災から2時間半後にSNSなどで活動休止を発表した。
【くまモン隊の活動について】
本日(7月28日)の地震発生に伴い、くまモン隊の活動を一時中止します。今後の活動については、改めてお知らせいたします。— くまモン【公式】 (@55_kumamon) July 28, 2026
活動休止を知らせるくまモンのXのアカウント。この投稿の後から激励のメッセージが届いた
2016年の熊本地震で、くまモンは約3週間活動を休止した。PRキャラクターであるくまモンは活動すべきなのか、被災者の気持ちを考えたときにくまモンが登場することは適切か、くまモンは人々の力になれるのか——。職員もくまモンも苦悩していた中、被災者からもくまモンの身を案じる声が上がっていた。「復興の象徴になれるかもしれない」。県はそう考えて、同年5月5日に避難所を回ることから活動を再開。子どもがくまモンに駆け寄ったり、高齢者がくまモンとハグをしたりと笑顔が戻り、くまモンの登場で被災地に明るさが戻った。