テレビCM×デジタルで店頭購買率232% ソニーの知見でブランド効果を“見える化” オンとオフのデータを横断分析するSMNと読売新聞東京本社の挑戦

企業や商品の認知拡大、来店や購買への誘導など、ブランド広告には中長期的な視点が欠かせない一方で、社内では具体的な費用対効果を求められる。こうした課題に対し、広告接触者の来店・購買計測など、さまざまなデータを横断して分析し、次の施策提案までを支援しているのがソニーグループのSMNだ。
 
8月5日に開催された「ブランドマネージャー/マーケター・カンファレンス」(宣伝会議主催)では、「ソニーの知見で鍛えた、データとテクノロジーの実装力――ブランドコミュニケーションの実践知」と題して、SMNの伊藤展人氏と佐藤壮一氏、読売新聞東京本社の竹崎昭太郎氏が講演。データの活用方法や実例を解説した。

「テレビCMが購買に寄与したか」を見える化

SMNは、オンラインとオフラインのデータを組み合わせ、マーケティングの最適化を支援している。まず、伊藤氏は企業が抱える課題として、「ブランドマーケティングの施策がどのくらい業績に貢献しているか、可視化が求められるケースが増えている」と指摘する。

写真 人物 SMN 伊藤展人氏

写真 人物 SMN 佐藤壮一氏

SMN グロース戦略課 課長の伊藤展人氏(左)とSMN パートナーグロースアクセラレーション課 課長の佐藤壮一氏

従来のブランド広告の評価では、企業や商品の認知率やリーチといったデジタル領域での指標が中心になりやすいが、SMNはさらに踏み込み、テレビCMに接触した人の店頭購買、OOHを見た人の来店など、オフラインの分析も行っている。テレビCMとデジタル広告の重複接触を分析し、その後のLTVまで含めた評価も可能という。

スライド資料

大手飲料メーカーの事例では、テレビCMとデジタル広告(TVer広告)の接触を区分し、それぞれの店頭購買率を比較した。テレビ、デジタルいずれにも接触していない非接触者と比べ、テレビだけに接触した層の購買率は13%高く、テレビ+TVerに1回接触した層では37%、2回接触した層では132%まで差が広がった。複数メディアへの接触と店頭購買をつなぐことで、テレビCM単独の評価では捉えにくかった効果を可視化できるという。

伊藤氏は、「分析自体が目的ではなく、結果を次の施策に反映する必要がある」と説明する。ブランドマーケティングの事業貢献を可視化した上で、メディア、ターゲット、コミュニケーションの3つの軸でPDCAを回すことが重要だ。効果の高いメディアや予算配分の検討にとどまらず、反応した消費者層やロケーション、メッセージやクリエイティブの違いまで分析し、次の施策につなげる。

「感性」のつながりから最適な表現を提案

こうした3つの軸のうち、コミュニケーションの改善を支えるのが、AIコミュニケーション戦略支援サービス「SENZAI」だ。ソニーのエンタテインメント事業とAIの知見を活用し、商品やブランドの特徴を、機能・性能・品質といった「機能的価値」、デザインや印象の「情緒的価値」、ステータスや信頼の「社会的価値」に分けて抽出。12種類の感性クラスタに照らしてブランドと消費者の“つながり”を分析し、どのようなクリエイティブ表現やメディアが適しているかを提案する。例えば通信サービスや飲食チェーン、キャラクターIPなど、業種や商材を問わず活用が広がっているという。

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「広告主が掲げるブランド戦略やコミュニケーション方針を踏襲しながら、消費者の属性を考慮して手法や表現を最適化する」と、伊藤氏はSENZAIの特長を語る。2026年6月には「SENZAIクリエイティブ生成ソリューション」の提供も開始した。ブランドの特徴から抽出したペルソナに加え、過去10年以上のテレビCMのデータを学習したAIエージェントを活用し、ターゲットのインサイトに合わせたメッセージなどを生成する。

“認知”という資産をファネル横断で活かす

SMNが重きを置くのが、ブランド広告によって生まれた認知層や関心層を、その後のマーケティングに活かすことだ。企業では、認知を担うブランドマーケティング部門と、申し込みや購買を担う獲得部門が組織的に分断され、ブランドを認知した消費者の情報が、その後のコミュニケーションに生かされないことがある。SMNは約1500万台のテレビ視聴データや、累計約6000万IDの店頭購買データなどを組み合わせ、このギャップを埋める施策を設計する。

例えば、テレビCMを見た人には、デジタル上で内容の異なる動画広告を配信する。イベント来場者には、後日デジタル動画を届けて商品理解を促す。店舗で商品を購入した人には、クロスセルを狙った広告を配信する。認知から購買へ向かう一方向の設計だけでなく、購買データを新たな認知施策に活かすなど、ファネルを双方向に行き来する活用も増えているという。

ブランドイメージを管理するインハウス化を全面支援

一方、ブランドイメージの一貫性を保つ難しさも出てくる。総合広告会社、SNSや動画などの専業会社など複数のプレーヤーが関わるが、それぞれが担当するKPIを追求するほどメッセージにずれが生まれ、ブランドイメージとのギャップが生じやすい。

伊藤氏は「個々のKPI達成に向けて、それぞれが努力した結果として起きる事象でもある。構造上の要因が大きい」と指摘する。このギャップの防止法のひとつとして挙げたのが、広告運用のインハウス化だ。意思決定から実装までを自社に取り込み、一貫した基準でPDCAを回すことで、ブランドイメージを管理しやすく、運用コストの削減やナレッジの蓄積、人材育成にもつながる。インハウス化には運用ノウハウや人材、インフラ、データの不足など課題も多いため、SMNは戦略・運用ノウハウの提供からAI・データ活用、運用環境の構築、実務支援までを一貫して提供し、広告主のインハウス化を後押ししている。

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膨大なIDを連携させたターゲティングの強み

講演の後半では、読売新聞東京本社とSMNの協業を紹介した。両社は2022年の資本提携を機に「YOMIURI X-SOLUTIONS(YxS)」を結成し、新聞、デジタル広告、両社のデータを組み合わせたマーケティング支援を進めている。

写真 人物 読売新聞東京本社 竹崎昭太郎氏

読売新聞東京本社 イノベーション本部 チーフプロデューサー 竹崎昭太郎 氏

データ活用の基盤となるのが、読売新聞グループのCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)の「yomiuri ONE」だ。読売IDに加え、読売旅行、よみうりカルチャー、読売巨人軍の会員IDなどを統合し、2026年4月時点で約800万IDを保有している。利用者の性別や年代、職業、世帯年収、趣味・興味・関心に加え、グループ各社の利用データを活用できる。竹崎氏は、「読売巨人軍に関心の高いロイヤル層や、旅行商品を利用した層にも、会員IDに基づいて広告を配信できる」と強みを語る。

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さらに読売新聞東京本社は、イオンマーケティングと提携。SMNと構築した「YxS Ad Platform」を通じ、WAON POINT番号に紐づくイオングループでの購買データを広告配信や分析に利用できるようにした。WAON POINTの会員数は2025年11月末時点で1億350万人、導入店舗数は4万4214店舗という規模を誇る。このデータを生かし、例えば、直近1カ月にアルコール飲料を購入した人のうち、特定ブランドを買ったことのない人を抽出し、そのブランドの広告を配信するといった活用を想定している。

現在は清涼飲料水などを扱う企業から問い合わせがあり、具体的なプランニングを進めている段階だ。今後はソニーグループのテレビ視聴データ、読売新聞グループのデータ、イオンの購買データを組み合わせ、テレビCMへの接触が実際の購買にどう結びついたかを検証する方針だ。可視化からPDCA、インハウス支援、パートナー連携まで、SMNはブランドマーケティングを事業成果に結びつける支援を幅広く展開していく。

お問い合わせ

SMN株式会社

Webサイト:https://www.so-netmedia.jp/

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