社員2204人を店頭に投入 酒税改正で始まる“ビール戦争”、キリン「一番搾り」が仕掛ける4つの戦略

10月1日に酒税改正が施行され、ビール、発泡酒、新ジャンルの税率が一本化された。ビールの税負担が下がり、カテゴリーへの新たなユーザー流入や競争激化が見込まれる中、キリンビールは旗艦ブランド「キリン一番搾り生ビール」を軸にした戦略を打ち出す。

写真 新しい「キリン一番搾り生ビール」

新しい「キリン一番搾り生ビール」

「一番搾り」は、中身とパッケージを刷新。パッケージは明るさを高めるなど「現代感」を意識し、若年層やライト層にも手に取ってもらいやすいデザインへと進化させた。味わいも見直し、従来の満足感を保ちながら、より飲みやすい設計とした。

さらに、「一番搾り」の売り上げの一部を生産者支援に充てる取り組みなどを通じ、味や価格だけではない新たな「選ばれる理由」もつくる。今年の年間販売目標(大びん換算)は、当初計画から15万ケース上方修正し、2425万ケースとしている。

酒税改正は若年層獲得の好機

10月1日の酒税改正では、ビール、発泡酒、新ジャンルの税率が350ミリリットル当たり54.25円に一本化された。これに伴い、発泡酒や新ジャンルの商品をビールへ移行する動きも広がっており、ビール市場では今後、競争が一段と激しくなるとみられる。

一方、執行役員マーケティング部長の今村恵三氏は、他社ブランドとの間でユーザーを奪い合うというより、「カテゴリーのエントリーを増やしていく」ことが重要と強調。普段ビールを飲まない人に新たに手に取ってもらうとともに、以前は飲んでいた人にも再び飲用してもらいたい考えだ。特に20代や30代前半は、他の世代と比べてビールの飲用が少ないという。

そうした層にも届く選択理由を提示するため、「プロダクト」「イノベーション」「ブランドアクション」「コミュニケーション」の4つを柱に取り組む。おいしさや品質だけでなく、それ以外の価値も組み合わせることで、ビールを手に取るきっかけを増やす。

「グッドエール」の知見も生かしたパッケージ刷新

「一番搾り」は8月製造品から中身とパッケージを順次切り替えている。糖化方法をインフュージョン法に変更し、ホップの配合も見直した。一番搾り製法と麦芽100%による満足感を維持しながら、より飲みやすく、飲み飽きない味わいを目指した。

今村氏によると、「一番搾り」をリニューアルする際には「今の一番搾りのおいしさを超えていく」ことを社内のハードルに設定したという。

「一番搾り」ブランドマネージャーの佐藤洋介氏によると、同社の消費者調査では、ビール好きから飲用頻度の低いライト層まで、新しい味わいへの好意的な評価が得られたという。

パッケージは、従来のベージュを基調とした色合いをやや明るくし、象徴であるしずくの印象も磨き上げた。「おいしさ一新」のコピーを加え、商品の変化を伝える。

佐藤氏によると、明るさを高めた背景には、若年層にも親しみを感じてもらい、手に取りやすくする狙いがある。

デザインの刷新には、近年展開してきた「キリン グッドエール」など他ブランドで得た知見も反映した。佐藤氏は、現在の商品デザインに求められる価値観を踏まえながら、「一番搾り」のパッケージを進化させたと説明する。

6缶パックの板紙にも、2段積み上げると大きな缶のように見える工夫を施した。長年の愛飲者が親しんできたデザインを生かしながら、売り場で新しい商品に気付いてもらうための視認性を強化している。

新しいおいしさを体験する機会も広げる。13年かけて開発した「極みの泡タップ」を活用し、きめ細かい泡を生み出す「極みの泡 一番搾り」を提供。全国9工場の工場見学で、10月1日から試飲メニューに導入する。

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