博報堂のクリエイティブディレクター河西です。前編では、広告が届きにくくなったメディア環境と「受け手発想」への転換の必要性について書きました。後編では、メディア環境や受け手発想をベースにしつつ、キャッチビジュアルやキャッチネーミング、記憶に残る体験づくり、「実体」が拡がりやすい傾向、「マツケンまみれゆうえんち」の企画に入っているポイントを明かします。
なお、マツケンまみれゆうえんちは僕一人でつくったものではなく、横浜・八景島シーパラダイスのみなさんの的確なプロデュースと熱意と努力によってできたものです。横浜・八景島シーパラダイスの考えでもある、と思って読んでもらえたらと思います。
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広告を届かせるために、キャッチビジュアルをつくる
さて、前編で解説した①メディア環境の変化、②受け手発想への意識転換、③情報の視聴態度とPRやSNSが効果を出す理由を認識したうえで、広告づくりをしていきます。いろいろポイントはあるのですが、いまのメディア環境下で僕が特に重要視しているのが、キャッチコピーならぬ『キャッチビジュアル』『キャッチネーミング』です。
前編で話したように、昔はどんな広告を流しても見てもらえました。でもいまはそうではありません。こうなると必要になるのが『広告を見てもらうための工夫』です。
そのひとつが『キャッチビジュアル』です。TVCMでも、WEB広告でも、SNS拡散施策でも、0.3秒で生活者の目をキャッチできるよう『見たことがない、感情が動くビジュアル』をつくることを強く意識しています。
なぜ0.3秒かと言うと、情報量が多いこの時代、生活者は1秒も時間を割いてくれないからです。キャッチコピーは文字なので、どうしても読むのに時間がかかります。音楽もイヤーキャッチになるのですが、メジャー曲だったり冒頭から引き込まれる音楽でないと時間がかかります。それに対してビジュアルは脳が理解するまでに秒数がかかりません。そして、誰かがSNSで投稿してくれたときも、キャッチビジュアルがあるとその投稿が見てもらいやすくなり、拡散されやすくなります(一説には見られる率が10倍以上とも言われています)。
このように、SNS拡散を狙う場合は、生活者がしてくれた投稿が多くの人に見られるように、まで考えています。いわゆる「質」を高める技術です。PRも同様で、ニュースとして記事化された後、その記事を多くの人に見てもらえるか、まで計算して企画をすると効果が高まります。キャッチビジュアルは、SNSやPRの質を高める方法論のひとつでもあります。例外として、最後でどんでん返しすることで「驚くという感情を動かす動画」などがあります。が、SNS拡散してもらうためには、まず誰かに最後まで見てもらい投稿してもらわないといけないので、どんでん返し型の拡散確率はどうしても低くなってしまいます(とはいえ、一度発見されれば拡がりやすいメリットもあります)。
そして、SNS拡散における最重要ポイントは『なにかしらの感情を大きく動かすこと』。そこで、キャッチビジュアルに、「面白い」だけでなく「かわいい」や「美しい」や「美味しそう」などブランディングを考慮してチョイスした『感情』をかけ合わせます。たとえば、かわいいキャッチビジュアル、面白いキャッチビジュアル、シュールなキャッチビジュアル、です。
感情が動くキャッチビジュアルをつくると、見てもらえる率も拡散力もさらに増えます。なお、感情が動く時間は感情によって異なります。「面白い」と「かわいい」は感情が動く時間がとても短いので現代のメディア環境では効果を出しやすいです(小さな女の子が瞬間的に「かわいい!」と叫んだりしますが、あれが「かわいい」の感情が動く時間です)。
マツケンまみれゆうえんちとマツケンまみれまみれ島はSNS拡散を意図したものなので、キャッチビジュアルづくりを強く意識しています(もちろんマツケンさん御本人の快諾をもらっています)。動かす感情は、時間がかからない「シュール」と「面白い」。遊園地のブランドにも沿う感情をチョイスしています。
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