デジタルイノベーションの総合展「CEATEC 2026(シーテック2026)」が10月13日、千葉市の幕張メッセで開幕した。会場では、社会の変革を予感させる最新技術が集結。ゴジラが襲来した街から人々を避難させるシミュレーションや、半導体業界への就職を疑似体験できる「人生ゲーム」、ハンドルもブレーキもない自動運転バスなど、ユニークな展示が来場者を迎えた。
共通するのは、最新技術を紹介するだけでなく、来場者が楽しみながら、その価値や未来の社会での活用方法を理解できるようにする工夫だ。各社はどのような技術を展示し、どのような未来を描こうとしているのか。現地で取材したブースの取り組みを紹介する。
前年を上回る821社が出展
27回目を迎える今回のCEATEC。テーマは「Transformation ―企業が、産業が、そして社会が変わる―」。AIやロボティクス、自動運転などの先端技術を通じ、企業や産業、社会の変革を促すことを目指す。
主催する電子情報技術産業協会(JEITA)によると、出展者数は821社・団体で、前年の810社・団体を上回った。新規出展は338社・団体と全体の41%を占め、スタートアップや大学・研究機関の出展者数は過去最多の246社・団体に達した。海外からは31カ国・地域の194社・団体が参加。会期は16日までの4日間で、11万人を超える来場者を見込んでいる。
会場は「一般展示」「X(Transformation)パーク」「ネクストジェネレーションパーク」「グローバルパーク」の4つの展示エリアで構成。国内最大級の自動車ショー「Japan Mobility Show Bizweek 2026」とも併催しており、幅広い分野の技術が紹介されている。
ゴジラ襲来を疑似体験
富士通のブースでは、東宝の協力のもと、日本を代表する怪獣「ゴジラ」を活用した体験型展示を展開した。テーマは「『もしも』に挑む、確かな力を。」。AIやデジタルツインによる災害対策技術を、ゴジラが街に襲来するという設定で紹介している。
「ゴジラ」が出迎える富士通のブース
展示のひとつが「ソーシャルデジタルツイン」を活用したデジタルリハーサル。舞台は都市型複合フェスティバル「KAWASAKI FESTIVAL」が開催される川崎駅周辺エリアだ。東京湾から上陸したゴジラが約60分後に到達する想定で、地域住民やイベント参加者を安全な場所へ避難させる方法をシミュレーションする。
デジタルサイネージによる誘導や、警察官による呼びかけなど、複数の施策を組み合わせ、ゴジラの到達までに人々を安全に避難させるための方法を検討できる。
担当者によると、特徴は建物や道路などの物理的な街の構造だけでなく、人の行動や心理、来場者の属性なども考慮する点にある。特定の状況で人々がどのような行動を取るかを予測し、避難誘導策の効果をデジタル空間上で検証する。
ゴジラの襲来を想定した避難シミュレーションを体験できる
ゴジラとコラボした理由について担当者は、地震や台風といった実際の災害を再現すると、どうしても生々しい表現になってしまうと説明。一方、ゴジラであれば、街が破壊されるような極端な状況でも架空の出来事として受け入れてもらいやすいという。
富士通は3月にスペインで開催された「MWC(モバイル・ワールド・コングレス)」でも東宝と協業。日本のコンテンツを活用することは、海外の来場者に技術を伝えるうえでも効果的だと考えている。
このほか、人の動きを認識する骨格認識AIを活用した「GODZILLA in MOTION」も展示。来場者がカメラの前で体を動かすと、その動きがゴジラの3D映像に反映される仕組みだ。
体にセンサーなどを装着する必要がない「マーカーレス」の骨格認識技術を活用しており、作業員の動作分析やヘルスケアなどへの応用も想定している。

