ホラー作家・雨穴にとって初の大規模展覧会『雨穴の変な世界展。』が10月23日、東京・天王洲の寺田倉庫G1ビルで開幕した。会期は2027年1月17日まで。
企画・制作には、雨穴さん本人と、Webメディア「オモコロ」を運営するバーグハンバーグバーグ、体験型展覧会で知られる闇の3者が参加した。開幕前日に開かれたプレス発表会と、雨穴さん、闇 代表取締役副社長CCOの頓花聖太郎さん、バーグハンバーグバーグ 代表取締役の長島健祐さんへの個別取材をもとに、展覧会の“設計図”をひもといていく。
プレス発表会に登壇した長島健祐さん、雨穴さん、頓花聖太郎さん(左から)。
『変な家』『変な絵』などの書籍で知られる「変なシリーズ」は、全世界累計発行部数約1000万部を突破。YouTubeのチャンネル登録者数も約200万人を数える。本展は、そうした書籍や動画、「オモコロ」の記事など、これまで画面越しに楽しまれてきた雨穴さんの作品世界を会場いっぱいに展開する。
会場は全12エリアで構成され、ゆっくり回ると約90分かかる。両側に商店が並ぶ不思議な町並みを抜け、「雨穴の家」を経て『変な家』『変な家2』『変な絵』『変な地図』の書籍の世界へ。さらに、雨穴バンドのステージ、オモコロの工作、歴代の“変なおせち”、雨穴さんの和室を経て、鬱蒼とした「森」へと続いていく。森の奥には、雨穴さんと闇が本展のためにつくり上げた新たなエリアも待つ。
会場入口の商店街。雨穴さんが普段買い物をしているという町並みから、“変な世界”の旅が始まる。
雨穴「じわじわと怖くなる」テーマパークのような空間
雨穴さん。
画面やテキストの中にあった世界を、空間でどう表現するか。雨穴さんはまず、制作チームと一貫してすり合わせてきた方針を話してくれた。
「驚かせたり、極端に怖がらせたりすることはしない。でも、何かじわじわと怖くなるような、そういうものを目指したいと思っていました」。
その方針が色濃く表れているのが、会場後半に広がる「森」だ。「森も、いわゆるファンタジーの世界の森というよりは、田舎の雑木林のようなものをイメージしました。私は田舎に住んでいるんですが、外を歩いていて、ちょっと足を踏み入れるような雑木林があります。その中にある奇妙な何か。日常の延長線上にある不気味さを空間で表現することには、すごくこだわりました」(雨穴さん)。
森の奥に雨穴さんがつくったのは、多くの人の記憶にある、とある感覚。「子どもの頃、森の小道を歩いていると、この先に何か怖い家があったら嫌だな、と想像したと思うんです。本当は存在しないのに、頭の中にだけあって、勝手に怯えていた、得体の知れないもの。そういうものを、今回、森の奥につくってみました。子どもの頭の中にだけある、存在しない空間に行くことができます」。
本展の重要エリアの一つである「森」。木々や草まで細部につくり込まれている。
制作では、イメージに近い写真を見せながら制作会社と共有したという。「関係者のみなさんが1つのイメージを共有しながら、技術やノウハウ、アイデアを次々に投入してくださりました。結果的に、自分のイメージ通りではあるけれど、イメージをはるかに超えた空間に仕上がりました。本当に、色々な人のパワーが集まったエリアです」(雨穴さん)。




