【追悼・村上龍さん】『カンブリア宮殿』で見つめ続けた、「時代をサバイブする企業」の共通点と「優れた広報」の条件

2006年の『カンブリア宮殿』(テレビ東京)放送開始以来、2026年3月まで20年にわたりMCを務めてきた村上龍さんが10月17日に亡くなった。数々の企業・団体のトップへのインタビューを通じ、村上さんが見つめてきた「時代を生き抜く」経営者の共通点、そして優れた広報の条件とは?宣伝会議発行の企業広報の専門誌『広報会議』で2015年に実施した村上さんへのインタビュー取材から、その独自の視点に改めて迫ってみたい。(※本記事は『広報会議』2015年8月号から再構成したものです。情報は掲載当時のもの)

『カンブリア宮殿』の8割は知らない企業。取材VTRは事前に3回は見る

作家 村上 龍さん(撮影:2015年6月)

━━『カンブリア宮殿』(テレビ東京)ではゲストである社長と、村上さんや小池栄子さんとのスタジオトークから、これまで様々なドラマが生まれてきました。

ゲストの方には、スタジオで一緒にVTRを見たり、収録で話したりしながら「今まで自分がやってきたことは、間違っていなかった」ということを確認して帰ってもらうのが一番いいと思っています。

カンブリア宮殿に出る経営者は皆さん、共通して謙虚な姿勢を持っています。かつ、すでに成功しても「このままでいい」と、現状で満足している人はいません。

どう見ても「成功企業」だったとしても、「成功している」と思っていない企業が多いです。まだ発展途上だと思っているんでしょう。今までやってきたことに対する、自信を持っている人は多いとは思います。

そういう方は、常に「どこかにビジネスのヒントはないか」と考えているような人が多いですね。ラーメンの「日高屋」を手掛ける、ハイデイ日高の神田正会長は、移動の際に、ハイヤーやタクシーを利用せず、「ここに店を出したら儲かるだろうか」と考えながら、自ら街を歩き回っているようです。面白いですよね。神田さんは「山手線の内外は、だいたい歩いた」と言っていました。現実的な社会と接した方がいいと考えている社長が多いように思います。

番組にも時折登場する、村上氏の仕事部屋での取材。この部屋でスタッフと資料を読み込み、VTRを確認する中で、番組の「柱」となる要素が生まれていく。

━━インタビューの準備はどのようにされているのでしょうか。

カンブリア宮殿には、三井物産のような大手のグローバル企業から、年商が5億未満の企業も出ます。8割は知らない企業ですので、実際にその経営者の書いた本などがあるのが一番いいのですが、しっかり資料を読み込まないと質問の取っ掛かりがないこともあります。

VTRもスタジオ収録の前日の打ち合わせのタイミング、当日、収録中の3回見ます。めったにないですが、実際に現場に行くこともあります。

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