AIに「正しく語られる」企業へ広報は「信頼」をどう設計するか

企業について調べる手段が、検索から生成AIとの対話へと広がっている。そこで問われるのは、自社が何を発信したかだけでなく、AIにどう説明されるかだ。XA Holdings代表取締役CEOの河野貴伸氏は、信頼設計の重要性を語った。
生成AIは、広報担当者が指示したときだけ働く存在ではない。記者や求職者、取引先、生活者がAIに企業について尋ねれば、AIは企業に代わって「この会社はどんな会社か」を説明する。

XA Holdings 代表取締役CEOの河野貴伸氏は、AIがすでに「企業の代理説明者」になりつつあると指摘する。検索結果から企業サイトを訪れるのではなく、AIの回答だけで企業への印象や評価が形成される場面が増える中、企業は「AIから自社がどう語られているか」を意識する必要がある。

AIが企業を説明する

難しいのは、AIが必ずしも企業の公式サイトだけを参照しているわけではないことだ。複数の情報源を集め、比較・分析しながら企業像を組み立てるため、企業が意図した説明とAIの回答が一致するとは限らない。公式情報は重要な一次情報である一方、第三者による情報や過去の情報も、AIが企業を理解する材料になる。

だからこそ、これまでのように「検索結果の上位に表示されること」だけではなく、AIが正しい情報を参照し、正しい企業像を説明できる状態をつくることが重要になる。

曖昧さが企業像を揺らす

河野氏は、特に日本企業にはAIに誤解されやすい情報構造があると話す。

例えば、関係者への配慮から断定を避ける表現。部門ごとに異なる言葉の定義。社内確認に時間がかかることで残り続ける古い情報。そして、社内では共有されていても外部には言語化されていない暗黙知だ。

人間同士であれば文脈から理解できる内容も、AIには「不明」や「矛盾」として映ることがある。情報の空白をAIが推測で補えば、企業が意図しない説明につながる可能性もある。

事実を一つの根拠に

では、何から着手すればよいのか。河野氏が重視するのが、会社としての「事実」をマスター化することだ。

企業名や事業内容、数字、強み、言葉の定義などを社内で共通化し、PR、IR、採用、ウェブ、カスタマーサポートなど、異なる接点でも同じ根拠から語れる状態をつくる。

河野氏は、AIから見た信頼は「主張の強さではなく、証拠の一致によって生まれる」と説明する。一次情報を整えるだけでなく、専門家やメディアなど第三者による裏付けも、AIが企業を信頼できる存在として判断するうえで重要になるという。

広報は信頼を設計する

こうした取り組みは、単なるAI向けの検索対策ではない。河野氏は、個別の施策ではなく「どのようにAIに語ってもらうか」という“語られ方の設計”へ発想を広げる必要があると話す。

その役割を河野氏は「Trust Architect」と表現した。AIの回答を直接操作するのではなく、正しい回答を生むための根拠を整え、継続的に確認・更新していく。情報が容易に生成される時代だからこそ、企業が何を事実とし、どの言葉で語り、どのような第三者評価を積み重ねているのかが問われる。「AIと人が同じ根拠から同じ企業像へ」。河野氏は、それを実現するための信頼の基盤づくりが、これからの広報に求められる仕事になるとした。

図 広報が担う「信頼」の設計
※※※※※

AI時代の広報は、情報を発信するだけでなく、社内の各部門をつなぎ、企業の事実と根拠を一貫して管理・更新する「Trust Architect」の役割を担う。

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河野貴伸氏

XA Holdings
代表取締役 CEO

お問い合わせ

XA Holdings株式会社

https://exal.li/pages/contact
MAIL:contact@exal.holdings

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