『株式会社dof代表取締役社長 コミュニケーション・デザイナー』というのがボクの肩書きで、
にあるようなことを行なうのがメインの仕事ですが、実はそれ以外に3つの肩書きを持っています。2つの会社の社外取締役、そして1つのNPO法人の委員。今回は日頃の業務から少し離れた、そんなお仕事のご紹介をさせていただきます。
肩書きその① ホワイトフード株式会社 社外取締役
ホワイトフード株式会社は、友人が震災を機に
です。大人の3~4倍もの内部被爆のリスクを持つ子どもや妊婦さん向けに、厳格な放射能測定をした安全で美味しい食材を届けるサービスを提供しています。社長の森啓太郎さんは震災後に、一人の人間として自分が出来る事はないかと考えた結果、このサービスの立ち上げにたどり着きました。
立ち上げ前にその思いを聞いたところから、ブランド戦略やマーケティング戦略のお手伝いをさせていただいているのですが、当初社長が考えていたブランド名は「セシウムフリー米」という、少しドキッとしてしまうようなものでした。そのネーミングでは美味しそうに思えないだけでなく、購入するお客さまが限定されるし、思わぬヒトを敵に回す可能性がある、と説得をし、クリエーターの仲間とともに、「ホワイトフード」というブランド名とロゴデザイン、パッケージデザインを提案しました。ブランド名を提案したつもりが最終的に会社名にまでなってしまったわけですが、サービス開始後着実にお客さまを増やし、楽天の売上ランキングで玄米・無洗米ともにNo.1を獲得することができるところまで成長をしています。ソフトバンクの孫正義社長もこの試みに賛同をして出資を決め、ホワイトフードは10年以内の上場を目指して事業を拡大させています。安全で安心なだけでなく、本当に美味しいごはんですので、是非一度お試しを。
肩書きその② 株式会社オーシャナイズ 社外取締役
株式会社オーシャナイズは、大学生向けの無料コピーサービス「タダコピ」を展開している会社です。
コピー用紙の裏側に広告を入れることにより通常10円のコピー料金が無料になる、というなんともまあ、画期的なビジネスを大学在学中に思いついた学生5人が起業をし、タダコピのほかにも、学割のスマートフォン「タダスマ」や大学内でのサイネージサービス「タダch(タダチャン)」など大学を中心にさまざまなサービスを展開しています。
オーシャナイズの菅澤社長との出会いは6年前、永谷園「『冷え知らず』さんの生姜シリーズ」のキャンペーンでタダコピを活用したキャンペーンを実施した時でしたが(詳細は電通の岸勇希君の「コミュニケーションをデザインするための本」に記されています)、それ以来、ボクの弟分として公私に渡る深い付き合いをしており、社外取締役に就任してからは事業拡大に向けてマーケティング戦略・施策のアドバイスをさせていただいています。学生時代、社会人経験もない状態から文字通り「裸一貫」で会社を立ち上げ、日々様々なチャレンジをしながら学生生活を応援する事業を展開している菅澤社長の姿を見るのは、ボクよりも年齢がひとまわり下ながらも、とても刺激になっています。最近では、ボクが担当させていただいているメガネブランド「JINS」の吉祥寺店オープンに際して「Mr.吉祥JINS選手権」という大学生を巻き込んだキャンペーンを、タダコピとWebの双方での展開をしました。
(次ページ「肩書きその③ NPO法人TABLE FOR TWO グローバル戦略委員会 委員」ヘ続く)
肩書きその③ NPO法人TABLE FOR TWO グローバル戦略委員会 委員
TABLE FOR TWO(以下TFT)は直訳すると「2人のための食卓」。世界の約70億人の人口のうち、10億人が飢えに喘ぐ一方で、10億人が肥満など食に起因する生活習慣病に苦しんでいる、そんな食の不均衡を解消するために07年に創設されたNPO法人です。
社員食堂や学生食堂、レストランなどで提供される健康的な「TFTメニュー」を1食食べると、開発途上国で飢餓に苦しむ子どもたちの学校給食が1食分(20円)寄付されるという、「気軽に参加出来る社会貢献」は現在日本国内で500を超える団体で導入されています。日本発の社会事業としてアメリカ、ノルウェー、香港など10カ国に拡げており、ボクは今後グローバル展開を加速して行く上でのブランド戦略、広い層に対してTFTの活動を知らしめるためのコミュニケーション活動のサポートをさせて頂いています。代表理事をつとめる小暮真久さんの著書「20円で世界をつなぐ仕事」を読んだあと、どうしても直接会って話がしたくなり、共通の友人を介して知り合ったのですが、すぐに意気投合をして、お互いの思いをガッツリとぶつけ合う事の出来る特別な関係になる事ができました。小暮さんはボクと同じ年ですが、自分とは比べ物にならないほど志や視座が高く、社会事業という、日本ではまだまだ遅れているテーマにたった1人で取り組み、少しづつ周りを巻き込みながら事業を成長させている姿は常に刺激になります。ボクの力で少しでも世の中を良くする仕事ができれば、と思いながらお手伝いをさせていただいています。
無償で手伝う4つの理由。
こうして、本業以外に3つもの肩書きを持って、随分と手広くやって儲かってそうだなあ〜、と思われるかたもいらっしゃるかもしれませんが、どれも無償、完全なボランティアでお手伝いさせていただいています。dof社およびボクはフィーモデルでビジネスをしているので、限られた時間と労力を本業以外にも費やすということになるのですが、それでも自分がその仕事を手伝うのには4つの理由があります。
第一に、自分が心から信頼し、盟友であると考えている仲間からのお願いであること。ビジネス抜きに、人間としての付き合いの中から発生している話であること。仲間から頼られる事を男冥利に感じますし、仲間からのお願いだからこそ、ビジネスライクに給与は頂けない、というのがベースにあります。
もちろん、将来的にビジネスが成功したら「出世払い」でいただきますが(笑)。
第二に、自分が日頃、コミュニケーションをビジネスとするフィールドで得た知見が直接・間接的に役に立つ可能性があるということ。ボクに限らず、コミュニケーションの業界で働く人間には他の業界では代替不可能で、世の中に役に立つ知見や能力が沢山あると感じます。
第三に、日頃の仕事と離れた場の仕事に携わることで、新たな発見があること。
経営者として真剣に日々の課題に向き合っている仲間を見る事は大きな刺激になり、自分が経営者としてやり切れていない部分を見つけるきっかけにもなっています。
そして最後に一番の理由。
そのどれもが世の中をハッピーにする仕事であること。ホワイトフード、タダコピ、TABLE FOR TWO、そのどれもが他の何かの真似ではないオリジナリティーがあり、新しい仕組みとして確実に世の中をハッピーに導いていること。そんな仕事に携わることが出来ることを、心から感謝し、楽しんでいます。
さあて、自分の会社も世の中をハッピーにするために、頑張らなくちゃ。
