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外遊で地球6.2周!総理官邸のスーパーワーキングマザー

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2020夏季五輪の東京招致や主要な国際会議でのスピーチなど、安倍総理の発言が国内外のメディアを賑わした2013年。25カ国、距離にして地球約6.2周という総理外遊に全て随行し、“世界を股にかけた”広報活動を展開する官邸スポークスパーソンが内閣副広報官の小野日子さんだ。

「広報会議」2014年1月号紙面より抜粋)

2013年9月25日、安倍総理はニューヨーク証券取引所でクロージング・ベルを鳴らした。その後、所内で開いた政策スピーチで使われた言葉、“Buy my Abenomics”は国内外メディアに多数引用された。

2012年8月、外務省の広報文化外交戦略課という日本の政策や文化の海外発信を担う部署の課長を経て、内閣副広報官、官邸国際広報室長に着任しました。外務省時代に比べると、本当に忙しくなりましたね。安倍総理に同行しての外遊は、25カ国、地球を6.2周したことになります。常日頃から「海外広報をしっかりやれ」と発破をかけられていますし、いろいろな会議体が立ち上がるなど、とにかく動きが活発なんです。

どんなに忙しくても孤軍奮闘という感じはありません。士気高い室員にも恵まれていますし、安倍政権下では官房長官、副長官はもちろん、参与や審議官レベルでも積極的に海外プレスのインタビューに応じています。総理ご自身が着任11カ月で34回ものインタビューをこなされており、過去4年間が年平均18回程度であったことに比べると、圧倒的な多さです。

こうした活発な動きの背景にあるのが広報マインドの高さです。安倍政権の広報にはいくつかの特徴がありますが、その第1がIT、なかでもSNSの活用でしょう。総理は就任前からフェイスブックを使っておられますし、昭恵夫人も積極的に活用されています。

官邸としても、前任の四方(敬之)副広報官の下、震災直後の情報発信ツールとして、フェイスブックとツイッターの英語版を日本語版に先駆けて立ち上げました。スタート時は、官房長官のプレス会見や震災復興関連情報をについてお知らせするなど、情報伝達のツールに過ぎませんでした。

安倍政権になって、日本語でも官邸フェイスブックを立ち上げ、被災地を訪問して美味しいごはんを食べたとか、官邸に誰が訪ねてきたとか、総理の日常をパーソナルタッチで載せるようになりました。英語版でも、日本語版での口調や雰囲気が反映されるように英訳を工夫してみると、アクセス数やフォロワー数が順調に増えていきましたね。

また、「リンクトイン」や「ハフィントンポスト」への投稿も奏功しています。特にリンクトインへの投稿は、ブルームバーグやCNBCといったアメリカのビジネスマンが見るようなメディアで大きく取り上げられ、「オバマ大統領も安倍総理を見習って、自分の言葉で政策を具体的に述べたらどうか」といったコメントが載るなどの波及効果がありました。

CSISで行ったスピーチで発した言葉、“Japan is back”も多くのメディアに引用された。

第2の特徴は、政策スピーチを効果的に使っている点です。日本でも、3本目の矢の成長政略について3回にわたりスピーチを行いましたが、海外でも政策演説は既に20回を超え、外遊の折々に日本の成長戦略などを総理自ら語るチャンスを設けてきました。

総理がニューヨーク証券取引所の鐘を鳴らしたシーンをご記憶の方もいることでしょう。あの時(13年9月)に発言した「バイ・マイ・アベノミクス」はいわゆるサウンドバイトになり、海外メディアが積極的に取り上げました。2月の訪米時に発した「ジャパン・イズ・バック」というフレーズも海外メディアの間でちょっとした流行語になりました。

9月のオリンピック招致のスピーチは、日本でも、現場に入ってからも、何回リハーサルしたことか。「そろそろ次の予定に(いきましょう)」と周囲が総理を促しても、ジェスチャーやアイコンタクトを含め、ご自身が納得できるまで反復されていました。そうした努力が、嬉しい結果の一助にもなったのだろうと思います。

≫次ページ 「省庁横断の広報連絡会も」に続く