ここでは、『販促会議』2014年12月号に掲載された連載「販促NOW-モバイル編」の全文を転載します。
スマホの普及によって一気に拡大したのがCtoC市場だ。消費者から消費者に対して、モノを売るといったことがスマホを経由して簡単にできるようになった。
例えば、消費者が処分しようと思っていたものをネット上で売ろうとした際、パソコンであれば、デジカメで撮影し、SDカードをパソコンに挿入してコピーして、オークションサイトに画像をアップするという手間が必要だった。パソコンやネットに慣れたユーザーであれば、問題ないが、誰しも使いこなせるというわけでない。
しかし、スマホによって、アプリを使い、カメラで撮影したものをすぐにネットで売るというのが可能になった。
そんな中、スマホにおけるCtoC市場で、急速に成長しているのが「メルカリ」だ。
フリマアプリとして2013年7月に配信を開始し、テレビCMを放映した効果もあって、現在では500万ダウンロードを突破。1日10万品以上が出品され、月間の流通総額は数十億円規模になっているという。
運営会社のメルカリは、ベンチャー投資会社から数回、資金調達を実施しており、この9月にはアメリカにも進出するなど、順調に基盤を拡大している。
実際にアプリを使ってみると、写真をなめらかにスクロールして表示できるので、まるでウインドーショッピングをしているようで楽しい。特に買いたいものがなくても、ただ出品された写真を眺めているだけで充分に暇つぶしができてしまうのだ。
メルカリとしてはアプリの品質にこだわって開発したようだが、まさに「心地よく操作できて楽しい」という点では、従来のコマース系アプリにはなかった特長かも知れない。
9月までは手数料無料のプレオープン期間であったが、10月からは販売手数料がかかることになった。出品はこれまで通り無料だが、商品が売れたときには販売価格の10%が手数料として発生する仕組みだ。
メルカリの月間流通総額が数十億円ということは、手数料収入で毎月数億円が入ってくる計算となる。
ただし、これまではユーザーの多くが「手数料が無料」ということでメルカリを使っていただろうから、有料化によって、どれだけのユーザーが利用を敬遠するかが気になるところでもある。
とはいえ、ユーザーが多ければそれだけ高値で売れる可能性もあるだけに、500万ダウンロードという実績によって、メルカリの優位性はしばらく続く可能性がありそうだ。
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石川 温氏(いしかわ・つつむ)
ケータイ・スマートフォンジャーナリスト。1999年に日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社。『日経トレンディ』編集記者を経て03年に独立後、ケータイ・スマホ業界を中心に執筆活動を行う。メルマガ『スマホ業界新聞』(ニコニコ動画)を配信中。
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