ケータイ・スマートフォンジャーナリストの石川温氏が注目するアプリを紹介。ここでは、『販促会議』2013年7月号の記事を掲載します。
石川 温(いしかわ・つつむ/ケータイ・スマートフォンジャーナリスト)
1999年に日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社。『日経トレンディ』編集記者を経て03年に独立後、ケータイ・スマホ業界を中心に執筆活動を行う。メルマガ『スマホ業界新聞』(ニコニコ動画)を配信中。
KDDI「驚きを、常識に。」
スマホがあらゆるものを取り込み、さまざまなものとつながろうとしている。カメラや音楽プレイヤー、ネット機能などを内蔵し、最近ではスマホで表示しているものをテレビにも出力できるようになった。家電メーカーは、スマホのアプリを使い、洗濯機や冷蔵庫、クーラーなどをコントロールできるようにもしている。もはや、スマホは生活のあらゆるものを操作できる「リモコン」になりつつある。
KDDIの社長である田中孝司氏が社長就任時によく使っていたフレーズが「ワクワク感」だ。スマホを買うと、それだけで生活が便利になり、人とのつながりが楽しくなる。スマホはちょっとしたきっかけに過ぎないのだが、持つだけで心が躍ってしまう。これが「ワクワク感」というわけだ。
KDDIでは昨年後半から「驚きを、常識に。」というキャッチフレーズを使っている。CMでは、スマホでタクシーを動かし、公園の街灯を点滅させたり、噴水の水の量を操るシーンが映し出された。スマホはもはや家電だけでなく、東京の街すらもコントロールできてしまうという「ワクワク感」をアピールした内容となっていた。
さらに、このCMの反響が大きかったことからと、「フルコントロール東京」と題し、このシーンを実際に再現してしまった。1月29日に東京・芝公園の増上寺を貸し切り、タクシーや街灯、噴水を設置した。スマホに対応アプリをインストールすると、それらを自在に操作できるようにしたのだ。当日は、アーティストのきゃりーぱみゅぱみゅを呼び、ライブを開催。
彼女が歌っている間は、スマホは音楽に合わせてペンライトのようにさまざまな色に光る。会場に集まった1500人もきゃりーぱみゅぱみゅと一緒にスマホを振ると、東京タワーの照明までもが七色に変化する。まさに東京をコントロールしてしまったのだ。その場の様子はカメラクルーによって撮影が行われ、CMとして放映された。
単なるCMのメッセージだったはずが、ユーザーを巻き込むリアルイベントにまで発展するという珍しいケースと言えるだろう。まさに「驚きを、常識に。」を地で行ってしまったわけだ。
いまスマホは、ある程度まで、普及が進んでいるため、次はスマホを拒み、これまでのケータイを持ち続けていた層へのアプローチが重要になる。このように、まだスマホを持っていない人たちに「スマホを持つとワクワク感が得られる」という魅力を分かりやすいかたちで伝えることが、これからのキャリアにとっては重要になってくると言えるのだ。
【バックナンバー】
- ブランド無関心層も 振り向かせるアプリ 販促NOW<MOBILE APPLICATION>(6)
- 人間には聞き取れない「音」を使いクーポン配信 販促NOW<MOBILE APPLICATION>(5)
- スマートフォンに標準搭載でアプリの認知拡大 販促NOW<MOBILE APPLICATION>(4)
- バーチャル体験するうちにうどんが食べたくなってくる 販促NOW<MOBILE APPLICATION>(3)
- 「いま、行かないと」購入意欲をくすぐるクーポン 販促NOW<MOBILE APPLICATION>(2)
- 空港を訪れるたび集めたくなる記念スタンプ 販促NOW<MOBILE APPLICATION>(1)
新着CM
-
広報
自動運転バスに「AI車掌」導入し車内コミュニケーション、上士幌町
-
販売促進
アサヒコ「豆腐バー」が海外進出 2027年以降は売上構成比30%を目指す
-
広報
N高・S高など、「AI入学式」の生配信を実施
-
広告ビジネス・メディア
メディアROIの追求と意味ある体験の創出を両立 日産自動車が推進する「共感最大化...
-
広告ビジネス・メディア
東急エージェンシーの新・中計が始動 2つの変革で「体験価値共創企業」へ
-
販売促進
たまごっちが動くOOH? 欧米版の新デザイン発売記念広告
-
販売促進
「紅茶花伝」新CMでマカえんと小芝風花がコラボ 深川麻衣出演ラジオも開始
-
AD
特集
広報業務が変わる!PRのデジタルトランスフォーメーション
-
クリエイティブ
宣伝会議賞「中高生部門」受賞者が広告界に就職/本田真梨恵さん