ケータイ・スマートフォンジャーナリストの石川温氏が注目するアプリを紹介。ここでは、『販促会議』2013年6月号の記事を掲載します。
石川 温(いしかわ・つつむ/ケータイ・スマートフォンジャーナリスト)
1999年に日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社。『日経トレンディ』編集記者を経て03年に独立後、ケータイ・スマホ業界を中心に執筆活動を行う。メルマガ『スマホ業界新聞』(ニコニコ動画)を配信中。
マツダ「CARPTURE FOR DRIVERS」
自動車メーカー各社は、スマホとクルマを連携させようと、さまざまな取り組みを行っている。電気自動車であれば、充電し、どれくらいのバッテリー残量があるかをスマホのアプリで確認できるようにしている。また、カーナビで提供されていた渋滞情報などを、スマホのアプリ向けに配信するといった取り組みを行うメーカーもある。まさにカーライフをサポートする存在として、スマホのアプリを位置づけているわけだ。
しかし、単に「クルマを撮影すると楽しい」というアプリに特化し、クルマ所有者以外にも認知され、ヒットを飛ばしたのが「ATENZA」「DEMIO」などを輩出しているメーカーである「マツダ」だ。「CARPTURE FOR DRIVERS」は、クルマをかっこよく、美しく、楽しく撮影するためのカメラアプリだ。ガイド表示に合わせてクルマを撮影したのち、エフェクトをかけると、カタログ写真のようなつやのある写真になったり、クルマの色だけを残してモノクロ写真にしたり、ナンバープレートを隠すといったことが行える。また装飾機能だけでなく、ホワイトバランスや露出を固定できるなど、カメラアプリとしても評価が高い。
実際に、クルマを撮影すると、それなりにプロっぽい写真に仕上がるから不思議だ。アプリの中には、撮影テクニックを紹介する文章もあるのだが、それが本当にプロカメラマンが実際に使っている技なので、かなり勉強になる。筆者は昔、トレンド雑誌の編集者をしており、間近でプロカメラマンの撮影方法を見ていたのだが、まさにカメラマンが実践していたことと同じことが書かれているのだ。
このアプリ、実は単にクルマをかっこよく撮影できるからヒットしたわけではない。ネットメディアに「さまざまなものを撮影すると、クルマが走っているように撮れる」と記事が上がったことで、一気にダウンロード数が増えたのだ。記事では、回転寿司を撮影したり、デパートの屋上にある子ども向けの遊具に乗り、撮影した画像が何枚も掲載されていた。これにより、クルマを所有していない人でも「自分も使ってみよう」とダウンロード数が増えたようだ。
当然のことながら、このアプリがヒットしたからといって、直接的にクルマのセールスが伸びるとは思えない。しかし、クルマ好きだけでなく、普段、さほどクルマに興味を持っていないユーザー層にも「マツダ」というブランドが浸透したはずだ。カメラアプリというのは、企画力が高ければヒットが出やすいジャンルである。その点、マツダは実にうまいプロモーションを手がけたと言えそうだ。
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