社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学ぶ連載です。
BASFグループ
ドイツにて染料の生産を軸に創業。現在はグローバルに事業を展開し、化学会社として化学品、プラスチック、高性能製品、農業関連製品などを生産、計11万人の従業員を擁する。日本では1949年にBASFジャパンの前身を設立、国内に25カ所の生産拠点を持つ。
「コ・クリエーション」がテーマ 日本法人も独自の周年プログラム
現在80カ国に子会社と約11万人の従業員を擁する、世界第1位の化学会社のBASFグループ。2015年のドイツでの創業150周年を機とし、2011年以降に掲げてきた企業戦略「Wecreatechemistry」をロゴに組み込みました。
この記念プログラムと日本法人の取り組みについて、BASFジャパンコーポレート・アフェアーズ本部を統括する水谷あゆみさんにお話を伺いました。
「継承」と「変化」をメッセージに
BASFの150周年は、ホームページなどで大々的に取り上げられており、お話を聞くにつれ「堅実」な社風の企業らしい取り組みであることが伝わってきました。
周年記念のテーマも、これを機に何か新しいものを始めるのではなく、150周年の今年だからこそ自分たちがやってきたことを「継承」し、次の150年でつくりたい「持続可能な社会」を、世の中に知ってもらう機会にしようというものでした。
周年のメッセージは、この稀有な機会をお祝いしましょうという「セレブレーション」と、BASFとともに歩んできてくださったお客さまやパートナーとの信頼関係をさらに深めましょうという「コ・クリエーション」の2つ。特に後者は、従来掲げてきたコーポレート・ステートメント「TheChemicalCompany」を、150周年を機に「Wecreatechemistry」へと変更したことと強く結びついています。
このメッセージは、対外的には皆さんと一緒に化学でいい関係をつくっていくという決意表明、社内には「BASFは変わっていく」という気づきを与えました。
随所に見える「共創」の精神
周年記念プログラムは企業戦略と結びついていることに加え、大変ユニークな取り組みが多いのも特徴です。
「コ・クリエーション」というテーマに紐づいた「クリエータースペースTM」プログラムは、BASFの企業戦略の柱であり社会的課題でもある「都市生活」「食品」「スマートエネルギー」の3つに対して、社内外問わず、バーチャルおよび対面型の両面から解決策を見出すためのプラットフォーム。2014年9月からサイト「クリエータースペースTMオンライン」が展開され、すでに2000人を上回る意見交換が行われています。
今年1月からは世界6都市で1週間ずつ、ワークショップやカンファレンス、コンテストなどが開催されています。独・米・中の3都市では、研究者などの人材を集めたサイエンスシンポジウムも開催されました。
また「セレブレーション」と紐づいて、本国ドイツで4月に開催された150周年記念イベントでは、工場の機械音など1200を超えるBASFの代表的な音を世界中の社員から集め、作曲家が編集した「150周年サウンド」が発表されるなど、ここでも「コ・クリエーション」が大切にされています。BASFの150周年には、社内外問わず広く参画者を募る「共創」の精神、そして企業戦略を色濃く反映しています。
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