米CNNに聞く「ニュースメディアが、ニュース以外のコンテンツに力を入れる理由」

SNSの浸透やデジタルデバイスの普及を背景に、誰もが情報発信者になれる今の時代、大手ニュースメディアに求められる役割とは何か。世界的ニュースメディア CNNに対する人々の「信頼」を形づくってきた、「オーディエンス志向のメディア運営」について、CNNインターナショナル シニア・バイスプレジデント/マネージング・エディターのエレーナ・リー氏に聞いた。

Ellana Lee(エレーナ・リー)
CNNインターナショナル シニア・バイスプレジデント、マネージング・エディター(編集責任者)。

米ジョージタウン大学で歴史と国際関係の学士号、ニューヨーク大学でブロードキャスト・ジャーナリズムの修士号を取得した後、1997年にCNNに入社。ニューヨーク支局でプロデューサーとして番組「In The Money」を立ち上げたのち、アジア太平洋地域を拠点にビジネス・プロデューサー、シニア・プランニング・プロデューサーとしてアジア発の主要ニュース配信に携わる。現在は、香港を拠点に活動。香港・ロンドン・アブダビ・ニューヨーク・アトランタのニュース番組や、CNN インターナショナルの企画番組の制作を統括するほか、CNN の親会社である米テレビ局ターナーのインターナショナル部門とともに、CNN インターナショナルのビジネス展開にも携わる。

「誰もがCNN発の情報にアクセスしやすい状況」をつくる

—誰もが情報発信者になれる時代、世界的ニュースメディアであるCNNの存在意義はどこにあると考えるか。

情報発信元としての「信頼性」、そして発信する情報の「信憑性」が重要なキーワードだ。世の中に流通する情報には“ノイズ”も多い。その中から、有用で質の高い情報を判別・選別し、発信するのが、CNNの大切な役割だと考えている。

ソーシャルメディアが登場した当時、誰もが「既存のニュースメディアにマイナスの影響を与える」と考えたと思うが、数年経った今、それは杞憂だったと感じる。むしろ、ソーシャルメディアとの対比によって、「CNNはどういう存在か/どういう存在であるべきか」がより明確になったという点で、我々にとって意味のある環境変化だった。CNNは今、人々にとって、雑談や噂話、デマといったものと信憑性の高いニュースとを区別するための重要なソースとなっている。

—CNNが発信する情報に価値があることを、オーディエンスに対してどのように伝えているか。

第一に、CNNのメディア企業としての姿勢を通じて伝えている部分が大きい。メディア環境が急速に変化する中で、賢明なメディア企業はどこも積極的な投資を行っている。もちろんCNNもその一つで、必要に応じて適切な投資を行い、組織を常に変革させ続けている。

具体的に言えば、デジタル領域への対応は、今やいかなるメディアも避けては通れない。その中で、ケーブルテレビネットワークからスタートしたCNNがデジタルメディアに着手したのは、1995年と非常に早かった。そのおかげで、世界中のあらゆる情報・トレンドをテレビ/デジタルネットワークを通じて、どこよりも早く発信する体制を早期に確立することができた。それが、現在の優位性につながっている。厳しい環境下を生き抜くためにはイノベーションが不可欠と言うが、まさにその通り。CNNの、直近1年におけるデジタルへの投資は2000万ドルにのぼり、この領域を担う人材も増やし続けている。

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