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訪日外国人2000万人突破 中国からの旅行客の興味とは?

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2015年の訪日外国人客数は前年より47%増の1973万7000人となり、過去最高を記録した。中でも増加が目立ったのが中国からの旅行者だ。2015年は499万人と前年(241万人)から倍増。これにより、国・地域別で3位から1位になった。2016年は10月末時点で訪日外国人2000万人突破が発表されたばかり。中国からの来訪は3割を占めるという。

「爆買い」が一段落したと言われる中、中国人観光客は日本で何を楽しんでいるのか。(この記事は、『広報会議』2016年12月号の特集に掲載されたものです)

日本に親近感を抱いた理由は“アニメ”

PR視点のインバウンド戦略-訪日中国人の興味は「爆買い」から「体験」、「都市」から「地方」へ』(電通パブリックリレーションズ、鄭燕、可越著)。本体1900円+税。2016年11月1日発売。宣伝会議刊。

北京、上海、広州に拠点を置く日系のPR会社、電通公共関係顧問(北京)有限公司では、日本語サロン」なるミーティングを定期開催している。日本語を話せるスタッフが集まり、毎回テーマを決めて話し合うというものだ。11月1日に発売した書籍『PR視点のインバウンド戦略』の取材のため北京を訪れた編集部は、この日本語サロンに参加し、「日本通の中国人女性」から見た日本旅行の魅力について聞いた。

電通公共関係顧問はクライアントの7割超が日系企業のため、仕事を通じて日本語に触れる機会は少なくない。そのため、総経理の鄭燕氏をはじめ、日本語を学んだり留学するなどの経験があり、日本語を理解する社員を多く抱えている。日本語サロンの開催は、こうした社員向けに日本語でのビジネスコミュニケーション力を高める狙いがある。

この日集まったのは若手の中国人女性社員・インターンの6人。北京だけでなく様々な地域の出身だが、みな日本の大学への留学経験があった。

なぜ留学先に日本を選んだのか。全員から返ってきた答えは、彼女らが日本のアニメに親しんで育ったこと。名探偵コナン、スラムダンク、聖闘士星矢、美少女戦士セーラームーン、ポケモン、ドラえもん、ちびまる子ちゃん……と次々にタイトルが挙がる。ストーリーを通じて日本人の生活や慣習について知ることも多いという。

「日本のラーメンはおいしい」

日本に旅行する際に楽しみにしていることについて聞いたところ、挙がったのは「食事」「ショッピング」「温泉」の3つ。食事については、刺身は好みが分かれるものの、寿司などの和食だけでなくたこ焼きやラーメンなども好きとの声が聞かれた。「日本のラーメンはおいしい」「𠮷野家は(中国にもあるが)日本の方がおいしい」との声もあり、日本人が普段食べているものが好まれていることが分かる。

20代の中国人女性が語る日本の魅力とは(中国・北京の電通公共関係顧問で)

ショッピングについては、銀座よりも新宿や原宿などに訪れている。伊勢丹やマルイのほか、マツモトキヨシやサンドラッグといったドラッグストア、ビックロ(新宿東口にあるユニクロとビックカメラのコラボ店)などの名前が挙がった。買うのは主に化粧品や薬など。新婚家庭に赤ちゃん用品を頼まれるという人も。「たくさん買って友人に配ったり、売ったりする人もいる」という傾向は周知の通りだ。

店選びはSNSなどで友人や著名人が訪れた場所などをチェックしておくことが多い。事前に「買い物リスト」を作成していると言われるが、一方で「応対してくれた店員さんが親切だと勧められるままに買ってしまう」との声もあった。温泉については富士山に近い箱根が人気。中には有名スポットばかりでなく、普通の商店街や公園を探して訪れたという人もいた。

ウィーチャット、アリペイ……、「スマホ決済」に対応を

日本滞在時の不満について聞いたところ、挙がったのは店舗の「決済」について。彼女らは普段、現金をあまり持たない。以前は中国で有力な銀聯カードなどのキャッシュカード対応が求められたが、今は「ウィーチャットペイ」「アリペイ」などのスマートフォン決済が普及している。友人同士のワリカンもスマホ一つで済む。これらの決済サービスが使えることを示すステッカーの貼られた店を選ぶとの声は中国で何度も聞かれた。

彼女らの親の年代にあたる50代などは歴史や自然、桜や紅葉などを楽しめる場所を好むとの声もあったが、特に若い女性たちにとっては主に都市部で楽しんでいることが分かる。日本人や日本文化に親近感を持っている彼女らのような層が、今後リピーターとなって日本のインバウンド需要を下支えすることになりそうだ。


11月1日発売の『広報会議』2016年12月号にて掲載中。本誌では、以下の内容についても聞いています。
詳細・購入はこちら

「広報会議」2016年12月号

[巻頭特集]なぜ地方創生に「広報力」が必要なのか?

観光・産業の活性化や居住・就労人口の確保などを目指し、「地域ブランド」の確立を課題とする自治体が増えています。行政と企業の枠組みを超え、協働による課題解決を目指すケースもあり、その中で広報・PRの力が必要とされる場面が増えてきました。今回の特集では2部構成で、「地方創生」に寄与し、地域ブランディングを実現するための動きをレポートします。
 

Part1 地域ブランディングと民間との協働を考える
 

●年に1度の「自治体の通信簿」発表に
2016年は石川県・金沢市が上昇
ブランド総合研究所 代表取締役社長 田中章雄
 

●特別座談会
茨城・群馬・佐賀が大激論!
「地域ブランド調査」に物申す
 

●広がるIT企業と自治体の協業
①ドローン活用
DJI JAPAN×岐阜県美濃加茂市
②官民連携プラットフォーム
Dropbox Japan、スペースマーケット 他×埼玉県秩父郡横瀬町
 

●TOPICS 企業版ふるさと納税がスタート
 

●「地域商社」の担い手が語る地方創生と広報の課題 WILLERグループ
 

●TOPICS 文化財をストーリーとして発信「日本遺産」
 

Part2 訪日観光とPR 「都市から地方へ」の動き
 
●REPORT
①物見遊山から「目的ありき」へ
訪日客向けサイト利用の変化
②「爆買い」から「体験」へ
中国人によるインバウンド需要の行方
 

●訪日客向けサイトリニューアルのポイント
西日本高速道路/福岡市「よかなび」
 

●熊本県×大分県
「 攻めの情報発信」で観光振興による災害からの復興へ