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浸透する「エンゲージメントエコノミー」時代に成長できる企業 — 米・マルケトVPに聞く

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米国に拠点を置くMarketo(以下、マルケト)のバイスプレジデントであるMatt Zilli氏が3月に来日。来日に際し、世界のテクノロジーを活用したマーケティングの潮流や、同社の日本市場での展開について話を聞いた。

—マルケトは近年、「Engagement Economy(エンゲージメントエコノミー)」という概念を提唱している。この概念とは、具体的にどのようなものか。

デジタルの浸透で、世界はあらゆる人やモノがつながる新しい時代を迎えている。エンゲージメントエコノミーの到来に気づいていようがいまいが、私たちはすでにこの世界に組み込まれているし、この時代を生きるマーケターには顧客だけでなく、ビジネスのあらゆる関係者とエンゲージしていくことが必要とされている。

このような環境で成果を上げ、事業を成長させられるかどうかは顧客との間にエンゲージメントを築けるかどうかにかかっている。Uberなどのような企業は、エンゲージメントエコノミーの世界観の中から生まれ、顧客との関係性のつくり方を理解している企業だ。世界中で、エンゲージメントの重要性を理解している企業が、成長を遂げている。

—顧客とエンゲージメントを構築する上で必要なのは、パーソナライズしたコミュニケーションか。

パーソナライズは手段のひとつではあるが、それだけでエンゲージメントが構築できるわけではない。まずはデータを基に個々の行動を把握し、そこから何を望んでいるのかを理解することから始まる。その理解があったうえで、ワントゥワンのコミュニケーションを行い、顧客の期待に応えていく必要がある。

そしてエンゲージメントは既存顧客だけでなく見込み顧客と、あらゆるステージで必要とされる概念だ。見込み顧客の場合には、彼らが何に関心を持っているのか、そのシグナルを収集し、読み解き、適切な接点づくりから始まる。既存顧客の場合には、購買履歴を始め、より多くのデータを取得できる環境にある。データを収集、蓄積をしていくことで、過去の情報から、次の行動予測を高度に推測することも可能になる。

今後より多くのデータを処理する必要性があるので、マルケトでは昨年末に、毎時間約4万件のカスタマーイベントを処理できる「プロジェクトオリオン」の第1段階の開発を終了させ、要望をいただいていたユーザー企業に対して提供を開始している。

—今後、ソリューション開発に際して注力していく領域とは。

注力領域は2つある。ひとつが、BtoB領域が対象になるがアカウント・ベースド・マーケティング(ABM)ソリューション。もうひとつがAIだ。あらゆるデータがMarketoのプラットフォームに取り込まれていくと、マーケターひとりでそのデータを分析して、意思決定につなげるのは難しくなっていく。そこでマーケターの意思決定をサポートするAIの活用を進めていきたいと考えている。

—今後の日本市場でのビジネス展開をどう考えているか。

「エンゲージメントエコノミー」が浸透し、日本の消費者も他国と同様に、企業に対してより高い期待を寄せるようになっている。マーケティングにおけるテクノロジー活用が不可欠な状況で、日本の企業もアメリカの企業と同じくらいのスピードでテクノロジー採用、導入が進んでいると感じている。今後も日本におけるマルケトのビジネスは、大きな成長を予測しているし、その成長に必要な投資は積極的に行っていく。

Matt Zilli氏
Marketo Inc. VP of Product Marketing and Segment Marketing

2013年にMarketo入社、プロダクト・セグメントマーケティング担当バイスプレジデントに就任。入社前には、LineStream Technologiesのマーケティング担当バイスプレジデントを務め、それ以前は半導体開発・製造企業のTexas Instrumentsや、データに基づくパーソナライズされた方法を創出するRovi Corporationで営業、マーケティング、事業開発、製品管理の各部門を歴任。サンタクララ大学のコンピューターサイエンスの学士(理学)を保有し、UCバークレーのハーススクールビジネススクールのMBAを取得。