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デジタルマーケティングを「控除説」で定義すると?
突然ですが、「三権分立」って中学生の時に授業で習いましたよね。国家権力というのは強大なので、立法・司法・行政の3つに分断し、主権者である国民による監視のみならず、三権相互の監視を効かせよう、という考え方です。
立法機能に相当する国会は法律をつくります。司法機能を担う裁判所はその法律がしっかり守られているかを監視します。では、行政は? この行政の定義が難しく、行政学の世界で通説となっているのが、「国家機能のうち、立法と司法を除いたもの」というものらしいです。「控除説」というもっともらしい名前もついています。
デジタルマーケティングの定義について、筆者はこのカッコいい名前を拝借し、「控除説」を提唱しています。つまりデジタルマーケティングを「マーケティング機能のうち明らかにデジタルでないものを除いた残りの全て」と定義づけています。投げやりな感じがする? いや、「控除説」は行政学でも通説なのです。そして、以下で述べる通り、実務設計においてはこの定義がとても便利なのです。
マーケティング機能の中に遍在するデジタル
「デジタルマーケティングとはなんぞや」という議論は盛んに行われています。また「デジタルマーケティングをその他のマーケティングと区別するのはナンセンスだ」という向きもあり、筆者もまさにその通りだと思います。しかし、だとしたら、いま現在デジタルマーケティングを担当している人やチームや企業は、それでどうしたらよいのでしょうか。「俺たちの存在はナンセンスだ」と高らかに宣言し、衆議院よろしくバンザイして「解散」する? 当然そういう訳にはいきません。
そこで提唱したいのが「控除説」です。まずは「控除説」の見解に立って「デジタルマーケティングはマーケティング機能のなかに遍在する(あらゆるところに出現する)」ということを認め、その上でデジタルマーケティングのSOW(スコープ・オブ・ワーク:業務範囲記述書)を、社内の関係部署と密にコミュニケーションしながら設定していきます。
SOWとは、要するにデジタルマーケティングは何をやって何をやらないのか、という決め事です。上記の通り、デジタルマーケティングはマーケティング組織の中に偏在するので、これを明確にしておかないと、まず何でもかんでもデジタルマーケティングの仕事になってしまいます。デジタルマーケティングの仕事を10年以上やっていれば「プリンターが壊れている!」と激怒された経験は1度や2度ではありません。
また、このSOWが明確でないと「デジタルマーケティングの戦略」なるものも作成できません。戦略とはどちらかと言えば何を「やらないか」の定義なので、業務範囲が無限であれば規定できる由もありません。まさにSOWの策定は、デジタルマーケティングの業務設計のはじめの一歩と言えます。
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